政府はエアコンの使用などで電気代がかさむ7月〜9月の期間、電気・ガス料金を補助することを決めました。標準的な家庭で3カ月間3000円程度の引き下げとなるようですが、そもそもこの期間、電気代がいくらかかるのか知りたいですよね。
そこで、世帯人数や地域ごとの夏場の平均電気代を調べてみました。平均よりも高い家庭は、ぜひ最後に紹介している節電方法を試してみてくださいね。
石倉博子
ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。
“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。大学では美学美術史と油絵を学び、文学と造形の学士を取得。しかし今は芸術とは程遠いお金の計算に情熱を燃やす人間になっている。伏線がきれいに回収された小説を読むのが好き。
夏場に家庭で一番電気を使用する家電はエアコンで、約4割を占めます。連日の猛暑では、エアコンを使わないと健康を害することにつながるので、夏場の電気代が高くなるのはやむを得ないと言えるでしょう。各家庭での使用状況も気になるところです。
そこで夏季(7月・8月・9月)の電気代の平均額を、世帯人数ごと、地域ごとに見ていきましょう。
総務省「家計調査(2024年版)」から夏季の世帯人数ごとの平均電気代を紹介します。
電気料金は、実際に使用した月の1〜2カ月後に電気料金が請求されるので、7月は6月使用分、8月は7月使用分として見るとよいでしょう。
月ごとに見ると、8月使用分が請求される9月の電気代が最も高いことが分かります。夏季は3〜4人世帯で1カ月平均1万〜1万5000円程度電気代がかかっています。
次に地域ごとの夏季の平均電気代を見てみましょう。
涼しい地域の電気代は安く、暑い地域は高くなることが予想できるので、北海道と沖縄はその通りの結果となっています。しかし、九州より東北の方が電気代が高いなど、予想が当てはまらない場合もあります。
これは、居住地域によって契約できる電力会社が異なるためです。使用量の差がそのまま電気代の差にはならないのです。
今は電力自由化によって電力会社を自由に選択できるようになっています。現在契約している料金プランが高いと感じているなら、電力会社や料金プランを見直してみるのもよいでしょう。
前述したように、夏場に家庭で使う電気量の約4割を占めるのがエアコンです。エアコンの電気代を抑えられたら光熱費が節約できるので、我慢してエアコンをつけない人がいるかもしれません。しかし、これは大変危険です。健康を害する恐れがあるためエアコンは我慢せずに使いましょう。
ここでは、エアコンを適切に使用しながら節電をする方法を紹介します。
エアコンは設定温度に達するまではフル稼働するため、運転開始時に多くの電力を消費します。そのため、外気温が高い時にこまめに消すと、その都度設定温度にするためのフル稼働を繰り返すことになるので、余計に電力を消費します。
ダイキン工業の調査によると、日中は30分程度の外出なら、つけっぱなしにした方が電気代を節約できるとしています(出典:ダイキン工業)。
経済産業省資源エネルギー庁のサイトによると、フィルターが目詰りしているエアコン(2.2kW)とフィルターを清掃したエアコンの比較で、掃除した場合は年間で約990円の電気代が節約になるとしています(出典:省エネポータルサイト)。
フィルターは2週間に1回を目安に掃除をするとよいでしょう。
室外機が直射日光や地面からの照り返しにさらされると、冷房効率が低下し、電気を余分に使ってしまいます。できるだけ日陰に設置するか、よしずを立てかけるなどして日陰を作ってあけるとよいでしょう。
その際は、室外機の吹き出し口をふさがないように気を付けましょう。
空気は、暖かいと上に、冷たいと下に行く性質があるので、冷房時は上向きで風を送ると広範囲を冷やせます。
冷房の温度は1度上げると、約10%の節電になると言われています。とはいえ、暑い時は設定温度を下げたくなるでしょう。その時は温度を下げるのではなく、風量を上げてみましょう。エアコンは冷やすために使う電力よりも、風量を上げる方が電力は少なくて済みます。
カーテンを閉めることで日差しが遮られ、窓から熱が入ってくるのを防ぐことができます。同時にエアコンの冷気が外に逃げるのも防ぐため、冷房効率が高くなります。部屋が暗くならないレースのカーテンでも効果があります。
月ごとの平均電気代は7月<8月<9月の順で高くなっていき、3〜4人世帯では1カ月約1万〜1万5000円が平均でした。
また、夏場は家庭で使う電力の約4割がエアコンによるものです。そのため、節電のためにエアコンの使用を控えたくなりますが、節電よりも健康を優先して、暑いと感じたらエアコンはためらわずに使いましょう。正しい使い方を意識して、エアコンを上手に活用すれば、快適さを保ちつつ節電にもつながります。
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