コンパクトで値段も手頃な「セラミックファンヒーター」は、暖房器具として取り入れやすいため利用している人は多いでしょう。なかには、「電気代がもったいないから、エアコンをつけずにセラミックファンヒーターで済ます」という使い方をしている人もいるかもしれません。
暖房器具は適材適所で使わないと、かえって電気代を無駄にします。セラミックファンヒーターはどのような使い方が適しているのか、役割分担を意識した正しい使い方をFPが解説します。
石倉博子
ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。
“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。大学では美学美術史と油絵を学び、文学と造形の学士を取得。しかし今は芸術とは程遠いお金の計算に情熱を燃やす人間になっている。伏線がきれいに回収された小説を読むのが好き。
セラミックファンヒーターは、熱源から発生した暖かい空気をファンで送り出す仕組みのヒーターです。温風が出るため、小型のエアコンのような感覚で使っている人も多いのではないでしょうか。そこで、セラミックファンヒーターとエアコンの電気代を比較してみましょう。
一般的なセラミックファンヒーターは、弱で600W前後、強で1200W前後となっています。
電気料金単価を31円/kWhで計算すると、弱運転で1時間あたり18.6円、強運転で1時間あたり37.2円となります。
部屋全体を暖めようとして、強運転で1日8時間使用したとすると、1日の電気代は297.6円、1カ月では8928円になります。
一方、エアコンの電気代はどのくらいでしょうか。
10畳タイプ(冷房能力2.8kW)の暖房時の消費電力を見てみると、700W前後となっています(出典:資源エネルギー庁/省エネ性能カタログ)。
電気料金単価を31円/kWhで計算すると、1時間あたりの電気代は21.7円になります。1日8時間使用したとすると、1日の電気代は173.6円、1カ月では5208円になります。
セラミックファンヒーターは、エアコンのおよそ1.7倍の電気代がかかることが分かりました。
セラミックファンヒーターとエアコンの比較では、そもそも、「セラミックファンヒーターで部屋全体を暖めることができるのか」というところから考えてみる必要があります。
そこで、暖房能力を比較してみましょう。暖房能力(kW)とは、部屋に供給できる熱量のことです。暖房器具の馬力と言い換えてもいいでしょう。
セラミックファンヒーターは、電気をそのまま熱に変える方式なので、使用した電力がそのまま暖房能力になります。
消費電力が1200Wなら、「消費電力 1.2kW ≒ 暖房能力 1.2kW」となります。
一方、エアコンは、室外の熱を集めて室内に熱を渡すヒートポンプ方式で部屋を暖めます。熱をつくるのではなく、もともとある熱を「集めて運ぶ」ため、比較上はエネルギーが少しで済みます。
エアコンのカタログを見ると、暖房能力が記載されています。一般的に10畳タイプのエアコンの場合は3.6kWと表示されている場合が多いでしょう。
つまり、10畳の部屋全体を暖めるには暖房能力3.6kWが必要であり、エアコンの暖房時の消費電力が700Wなら、「消費電力0.7 kWで暖房能力3.6kWが出せる」ということです。
こうした点を踏まえて、セラミックファンヒーターとエアコンを比べると、エアコンのように部屋全体を暖めるには、セラミックファンヒーターは10畳の部屋で3台必要になるということです。
10畳の部屋を同じくらい暖めるには、セラミックファンヒーターはエアコンの約5倍の電気代がかかる結果となりました(※)。
セラミックファンヒーターはエアコンに比べて電気代がかかり、暖房能力も弱いことが分かりました。しかし、セラミックファンヒーターはエアコンにはない良さがあります。
エアコンが10万円前後する一方で、セラミックファンヒーターは1万円前後で購入できます。
セラミックファンヒーターの長所を生かした使い方をすれば、電気代の負担や暖房能力の弱さといったデメリットをカバーできます。
例えば、以下のような使い方です。
暖房器具の適材適所を心掛け、場合によっては組み合わせることで、電気代を抑えながら快適に過ごすことができます。
セラミックファンヒーターは「一時的・局所的な暖房」と割り切り、部屋全体を暖めようとせず、できるだけ短時間の利用を意識しましょう。
暖房費が気になる人は、暖房器具の適材適所ができているか、一度見直してみるといいでしょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.