Red Hat Linuxでは,7種類のランレベルを以下のように使い分けている。
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初めて知った人は,ランレベルという仕組みがなぜあるかという疑問も当然だ。Linux(UNIX)では,場合に応じて必要な処理を切り換える必要性がある。シングルユーザーのOSと異なり,さまざまなユーザーがログインしている可能性があるマルチユーザーOSは,rootだからといって好き勝手にシステムを再起動したりできないのだ。
リスト2の記述内容を順番に解説していこう。
id:3:initdefault: |
この行は,起動時のランレベルを「3」に設定しているという意味だ。ここで設定できる値には,ほかにも1,2,5があるが,一般的には「3」か「5」になっているはずだ。X Window Systemなどを利用して,グラフィカルなログイン画面にしている場合は,「5」になっている。もしもグラフィックチップの認識に誤りがあって,グラフィカルログイン表示が正常に行われない場合は,一時的に5から3に変更するといった配慮が必要だ。
initdefaultの次に,次の記述があるだろう。
# System initialization. si::sysinit:/etc/rc.d/rc.sysinit |
これは,システム初期化のための設定であり,init が起動された直後に実行される。
記述されている/etc/rc.d/rc.sysinitというファイルは,キーボードの配列を設定したり,スワップパーティションを有効にする共通処理を行う。ただし,ほかのスクリプトを呼び出している場合もあるため注意が必要だ。
ここでsysinitで設定されたスクリプトが実行されると,前述した「id:3:initdefault:」で設定されたランレベル3の処理に移る。
ランレベル3が選択されると,次の記述の中からランレベルが選択されて実行に移る。
l0:0:wait:/etc/rc.d/rc 0 l1:1:wait:/etc/rc.d/rc 1 l2:2:wait:/etc/rc.d/rc 2 l3:3:wait:/etc/rc.d/rc 3 l4:4:wait:/etc/rc.d/rc 4 l5:5:wait:/etc/rc.d/rc 5 l6:6:wait:/etc/rc.d/rc 6 |
ここでは,ランレベル3が指定されているため,次のコマンドが実行される。
/etc/rc.d/rc 3 |
ランレベル5で起動時からグラフィカルログイン画面に設定している場合は,次の通りだ。
/etc/rc.d/rc 5 |
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