| 各種サービスの設定もGUIで行える |
Red Hat Linux 7.2には,Linuxの基本的なシステム設定だけでなく,Linux上で動作する代表的なサービスを設定するためのGUIツールも用意されている。付属しているのは,httpサーバのApacheを設定する「Apache設定」,DNSサーバのbindを設定するための「bindconf」,Windowsとファイル共有を行えるSambaの設定ができる「Samba Configuration」だ。
この中でも「Samba Configuration」は,Sambaが標準でサポートする「SWAT(Samba Web Administration Tool)」を呼び出すだけである。これは汎用的なインタフェースであり,Red Hat Linuxに依存するものではない。よって,ここでの説明は割愛することにした。「Apache設定」と「bindconf」を解説していこう。
「Apache設定」ツールでは,Apacheの設定ファイル「httpd.conf」を視覚的に設定できるようになっている(Fig.28)。
Fig.28■Apache設定![]() |
Apacheの設定ファイルは,Red Hat Linux 7.2やTurbolinux7のRPMパッケージの場合,/etc/httpd/conf/ディレクトリ内にあるhttpd.confファイルに集約されている。「Apache設定」では,このファイルを直接読み書きすることで設定を行っている。このため,手動でhttpd.confファイルを編集したとしても,変更内容はGUI上で見ることも可能だ。
「Apache設定」は,かなりよくできているツールだ。ディレクトリオプションを設定したりエラー文章を設定,環境変数の設定やSSLの設定など,ほとんどの操作がGUI上で設定ができる(Fig.29)。
Fig.29■Apache設定―仮想ホストのプロパティ![]() |
ただし,Apacheで利用する各種モジュールをインストールした場合の設定まではできない。より複雑な構成にしたい場合には,手作業で直接/etc/httpd/conf/httpd.confファイルを編集することになるだろう。
「bindconf」ツールを利用すると,DNSサーバのレコードを設定することができる。「bindconf」を起動すると,/etc/named.confファイルに記述されている設定が表示されるのだ。いちどもbindの設定をしていないのであれば,「localhost」と「0.0.127.in-addr.arpa」項目が表示されるはずだ(Fig.30)。
Fig.30■bindconf![]() |
DNSのゾーン(ドメイン名)を追加したい場合には,「追加」ボタンを押す。すると「転送マスターゾーン」「逆引きマスターゾーン」「スレーブゾーン」いずれかを追加するのかが問われる。プライマリDNSを構成したいのであれば,「転送するマスターゾーン」を選択し,その下にある「ドメイン名」部に作成したいドメイン名を入力すればよい。ここでは,試しに「EXAMPLE.CO.JP」のゾーンを作ってみた例だ(FIg.31)。
Fig.31■ゾーンを新規作成する![]() |
上画面のように入力して「OK」ボタンを押すと次のように表示され,裏ではドメインを構成するゾーンファイルが作られる。「追加」ボタンを押してホスト名とIPアドレスの関係を設定したり,メールサーバ(MXレコード)項目も追加できるといった具合だ(Fig.32)。
Fig.32■ゾーンの編集![]() ![]() |
上記で設定を行うと,ゾーン設定された内容が/var/named/ディレクトリ下に保存され(RPMパッケージの場合のインストール先),そのゾーンファイルを指定する大元の設定ファイル/etc/named.confも書き換えられる。例えば,EXAMPLE.CO.JPのゾーンを追加した場合,/etc/named.confファイルには次のような設定項目が加えられる。
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zone "EXAMPLE.CO.JP" { type master; file "EXAMPLE.CO.JP.zone"; }; |
しかし,このbindconfツールではクラスC未満の逆引きDNSが設定できないという問題もある(正引きは問題ない)。そのため,ADSLやOCNアクセスラインなどを使ったIPアドレスが8個や16個しか割り当てられない環境での逆引きDNSの設定はできないのだ。クラスC未満の逆引きDNSを構築する場合には,手作業で/etc/named.confファイルを変更しなければならない。ただし,多くの低価格を掲げるISPでは逆引きが自サーバまで到達することはないため,必須な設定ではないだろう。
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