■監視結果によってデーモン自動復旧も可能

 これまで紹介してきた機能は、すべてモニタリングを行うという観点からのものだ。モニタリングだけであれば、RRDToolの方がキレイなグラフを生成してくれる。しかし、HDE Centerの持つ最大のメリットは、モニタリングだけではなく万が一の障害時にデーモンなどの自動復旧が可能な点だろう。

 「管理」タブの「プロセス管理」画面では、MODE「設定」に「任意プロセス登録画面へ」というカスタムメニューが用意されている(写真5)。ここでは、「ps」コマンドで参照されるプロセス名を登録しておけば、幾つプロセスが起動されているかが監視対象になるのだ。つまり、プロセスが「0」になった場合には、デーモン起動を行うように設定しておけば万が一オチた際の対策となるだろう。

 写真6のようにユーザーが自由にスクリプトを記述できるため、デーモン起動以外にもさまざまな処理実行が可能である。

画面

写真5■プロセスがあるか無いかだけを判別すればよいため、ここではしきい値を「0」として当てはまる場合の「アクション設定」を行っている

画面

写真6■ここでのスクリプト指定は最も単純なものだ。しきい値「0」になった場合に実行される

 なお、しばらく運用を続けてみて気づいたのは、HDE Centerが各サービス監視のためにコネクションを張り、デーモン設定によっては次のようなエラーが記録されてしまう点だった。

# tail -1000 /var/log/secure |grep FAIL
Sep 3 07:05:39 speed xinetd[7956]: FAIL: pop-3 address from=127.0.0.1

 ログを見れば分かるように、これは自ホスト(127.0.0.1)上でPOP3接続がエラーになったという記録だ。事実、筆者の環境ではPOP3への接続許可を192.168.0.0/24に制限していた。このように、利用者環境によっては幾つかのサービスにおいて追加設定する必要があるかもしれない。いずれにせよ、若干の変更だけで済み混乱するような環境の変化が起きなかったことを付け加えておこう。

# cat /etc/xinetd.d/popper
service pop-3
{
disable = no
socket_type =stream
wait = no
user = root
server = /usr/local/sbin/popper
server_args = -s
only_from = 192.168.0.0/24 127.0.0.1
log_on_failuer += USERID
log_on_success =
}

 サーバモニタリングには、トラフィックからサーバ自体のリソース監視、そしてクラッキング痕跡の監視などさまざまな種類がある。そのような中で、HDE Centerはほぼこれらを網羅する統合監視が可能であり、これまでに触れてきたように警告メールなど任意のイベントを起こすなど、運用を支援してくれる機能が満載だ。

 筆者は日ごろ同じような機能を持ったソフト「NetSaint」を使ってきたが、環境設定までが苦労であり、なかなか安定した監視体制にまでこぎ着けていなかった。Webベースでの監視では前述したようにMRTGやRRDToolも挙げられるが、緊急時に何かアクションを起こす仕組みは別途用意しなければならない。

 HDE Centerは比較的高額なものの、複数のサーバを統合管理できる点を考慮すれば、管理コストに多大な投資を行っている企業には文句なくおすすめできる製品だ。

HDE Center 2.5

■動作環境(管理マネージャ)

Linux版

対象OS:Red Hat Linux 6.2/7.1/7.2/7.3/Advanced Server 2.1、Turbolinux Server 日本語版6.1/6.5/7、Miracle Linux Standard Edition 1.1
CPU:PentiumIII/1GHz以上、もしくは互換プロセッサ、必要メモリ:512MB、ハードディスク容量:バイナリ100MB以上/管理データは3か月10ノード換算で1GB程度

Solaris版

対象OS:Solaris 7/8 SPARC Edition
CPU:Ultra SPARC III/750MHz相当以上、必要メモリ:1024MB以上、ハードディスク容量:バイナリ100MB以上/管理データは3か月10ノード換算で1GB程度

■価格

HDE Center 2.5/System Manager

基本パック(3管理対象ノードライセンス付)
384,000円(192,000円/キャンペーン)Linux版
576,000円(288,000円/キャンペーン)Solaris版

HDE Center 2.5/Distributing Manager

基本パック(3管理対象ノードライセンス付)
240,000円(120,000円/キャンペーン)Linux版
360,000円(180,000円/キャンペーン)Solaris版

※ キャンペーン価格は初回100本限定
詳細は、http://www.hde.co.jp/center/price/

■問い合わせ先
ホライズン・デジタル・エンタープライズ


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[木田佳克,ITmedia]