ブックレビュー(1999年12月)

XML実践ガイド(上/下)

著者:Natanya Pitts-Moultis,Cheryl Kirk
翻訳:山本浩
価格:[上巻]3800円,[下巻]4800円(税別)
体裁:B5変形版 [上巻]416ページ,[下巻]452ページ
付録:[上巻:なし,[下巻]CD-ROM×1枚
ISBN:[上巻]4-7561-3281-2,[下巻]4-7561-3282-0
発行:株式会社アスキー
発行日:1999年12月1日
その他:左の写真は上巻


 1999年に米国Coriolisから刊行された書籍『XML Black Book』の翻訳書。XMLについて解説した書籍としては,最新に近いものといえる。既存の多くのXML関連書籍は刊行からずいぶん時間が経過していることもあり(良心的な一部の書籍は,重版のたびに内容を改定したり増補したりしているようだが),内容の劣化も免れない。その点,最新情報が掲載された書籍が刊行されることは,ありがたい限りである。

 上巻は「第1部 XML入門」と「第2部 XMLの構成要素」という2部構成であり,第1部は「マークアップ言語」「XMLの概要」「XMLの正しい作法」「企業環境へのXMLの導入」という4章から,第2部は「DTD」「XMLアプリケーションとXML文書」「エレメントの使用法」「属性の使用法」「コンテンツの作成」「XMLのリンク機構:XLink」「リンクの中の参照:XPointer」「エンティティの作成と取り込み」「XMLの処理」という9章からなっている。

 下巻は「第3部 スタイルシート」「第4部 XMLアプリケーション」「第5部 XMLユーザーズガイド」「第6部 付録」の4部構成であり,第3部は「スタイルの設定(1):CSS」「スタイルの設定(2):DSSSL」「スタイルの設定(3):XSL」「XMLの設計」の4章から,第4部は「XMLアプリケーション」「RDFの利用:より高度なXMLを用いたケーススタディ」「CDFのインプリメント」の3章から,第5部は「XMLへの変換」「XMLツールボックス」「XMLとWebブラウザ」「XMLの採用例」の4章から,第6部は「オンラインリソース」「XML 1仕様」「用語集」の3章から,それぞれ構成されている。

 つい先だって仕様が確定したXLinkやXPointerについても言及されており,内容的には比較的新しい。また,著者の一人がWebデザインの講師をしているためか,システム設計者や開発者にお勧めするというよりは,特にHTMLデザイナーに対してお勧めしたい。XMLに興味を抱くユーザーを大きく分けると,SGMLからの潮流,HTMLからの潮流,システム/アプリケーション開発からの潮流,という3種類があると思われる。先だって紹介した『XMLとJavaによるWebアプリケーション開発』はシステムやアプリケーションの開発者にお勧めするものであったが,本書は特にHTMLを習得するなかでXMLに関心を持った読者にお勧めしたい。また「第4部 XMLアプリケーション」などは,アプリケーションやシステムのなかにXMLをどう適用してゆくべきかを考えているシステム設計者の参考にもなるだろう。

実森仁志

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