Exchange 2000徹底解剖
変貌するExchange 2000

 変貌するExchange 2000
 〜一新された基本アーキテクチャ〜

Exchange 2000の基本アーキテクチャ

 Exchange 2000の基本アーキテクチャは,従来バージョンから大幅に見直されている。従来バージョンのExchangeは,どちらかといえば単なるメールインフラ,あるいはメールを利用するアプリケーションのためのインフラであった。しかしExchange 2000のアーキテクチャは,(1)コミュニケーションサービス,(2)データストレージサービス,(3)カンファレンシングサービス,という多面性を満たしつつ,はるかに高速で安定したものを目指して拡張されている。

Fig.1-1 Exchange 5.5の基本アーキテクチャ(上)とExchange 2000の基本アーキテクチャ(下)(それぞれ,図版をクリックすると拡大可能)
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 たとえば,従来はExchange固有の機能として実装されていたディレクトリサービスはWindows 2000に搭載されたActive Directoryと統合され,Exchange関連のディレクトリ情報はすべてActive Directoryのスキーマを拡張して格納されるようになった。

 また,標準的なプロトコルソケットは,独自に提供されるのではなく,すべてIIS(Internet Information Services) 5.0上に実装されるようになっている。これにより,Exchange 2000が対応可能なプロトコルソケットの拡張性が高まるとともに,オペレーティングシステムのパフォーマンスを最大限に発揮できるようになった。

 さらに,従来バージョンにおけるサイトの概念はActive Directoryのサイトに統合され,管理グループやルーティンググループという新しい管理概念が新たに導入された。前者はExchangeサーバーや各サーバーが格納しているメールボックスなどを管理の側面からグループ化する概念であり,後者は十分な帯域幅で常時通信できるサーバー群をグループ化する概念となっている。

 そのほか,Exchange 2000 Enterprise Serverでは,複数のデータベースとストレージグループをサポートしている。これにより,データのバックアップ時間やリストア時間を短縮できるようになるとともに,目的に応じてデータベースを分散配置することも可能となっている。

 以上のような特徴を備えたことで,Exchange 2000は,組織内の複数のサーバー上に任意のサービスを分散可能なプラットフォームへと進化した。このようなExchange 2000の基本アーキテクチャは,複数のサーバー上に実装されたアプリケーションや機能をサービスとして取り扱い,ネットワーク全体で透過的に共用または活用しようとする.NETアーキテクチャとも方向性を一にする。

 本稿では,Exchange 2000で変更された基本アーキテクチャについて詳しく説明する。

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