Exchange 2000徹底解剖
変貌するExchange 2000

 これまで,Web Storage Systemには,さまざまな種類のデータを格納し,さまざまな手段でアクセスできることを説明してきた。しかし,ユーザーの利便性や知識の共有という観点からみると,蓄積された情報を十分に活用するためには,「データを格納でき」「それにアクセスできる」だけでは不十分である。蓄積されたデータを活用し,価値ある情報へと昇華させてゆくには,効率のよい情報検索機能も欠かせない。実は,Web Storage Systemは,Windows 2000に搭載されているインデックスサービスの検索対象領域となっている。そのため,Web Storage System内に格納されているあらゆる情報は,インデックスサービスを用いて自由に検索できる。嬉しいことに,メッセージやOfficeドキュメントファイルに書き込まれている文字列はもちろん,メッセージに添付されているファイルの中身やOfficeドキュメントのプロパティまでもが検索対象となる。また,Web Storage Systemには,OLE DBやADOを利用したクエリーを発行することもできる。

 ところで,Web Storage SystemはXMLストアとしても利用可能である。インフォメーションストアに格納されているコンテンツをXMLで処理することによって,格納されているデータを異なるプラットフォーム間や異なるアプリケーション間で共有することができる。これらのデータはインターネットを経由して共有することも可能である。また,Web Storage Systemにメッセージやファイルを格納すると,Exchange 2000は,ファイル作成者の名前や更新日といったドキュメントのプロパティを自動的に解析し,インフォメーションストアに登録する。これらの付帯情報を,「メタデータ」と呼ぶ。XMLを利用すると,これらのメタデータを効率よく部分抽出することができる。

 さらに,インフォメーションストアでは,OnSaveやOnDeleteなどのストアイベントがサポートされているため,「フォルダに情報が保存された時点で,特定のユーザーにメールを送信する」といったワークフローアプリケーションも容易に開発できる。つまり,Exchange 2000のインフォメーションストアは,1つのアプリケーションとしても利用できるのである。

 Web Storage Systemのおかげで,組織内のユーザーが必要とする情報は,手軽に1カ所にまとめて格納できるようになる。Web Storage Systemを活用すれば,情報の共有,情報の検索,情報の活用を,すべて1カ所を起点に実行できることになるため,非常に便利である。

 ここまでの説明からもわかるように,Exchange 2000はさまざまなクライアントから便利に使用できるようになっている。しかし,その真価は基幹系のアプリケーションと組み合わせたり,ワークフローのようなグループウェアアプリケーションを開発したり,不定型なデータを格納してナレッジマネジメントアプリケーションを開発したりするときにこそ発揮される。そこで次回は,データストアとしてのExchange 2000,あるいはアプリケーション構築基盤としてのExchange 2000について,より踏み込んで解説する予定である。ご期待いただきたい。

(竹島弓理,NRIラーニングネットワーク

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