Exchange 2000徹底解剖
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変貌するExchange 2000
このように,Web Storage Systemにアクセスするためには,RPCを用いるOutlookを利用する以外に,Win32 APIを用いるWindowsエクスプローラを利用することもできる。さらに,Web Storage System はWebテクノロジーとも統合されているため, OWAを介したHTTP接続や,WebDAVを用いた接続も可能である。
HTTPとは,本来WebサーバーとWebブラウザとのあいだで交わされる通信に用いられるプロトコルである。WebブラウザがURLを指定することで,通信先となるWebサーバーに接続する。実は,Exchange 2000のインフォメーションストアに格納されている各アイテムには,次のようにURLが割り当てられている。
- クライアントのメールボックスを表示するには
- http://
Exchangeサーバー名 /exchange/メールボックス名 /
- クライアントの受信トレイを表示するには
- http://
Exchangeサーバー名 /exchange/メールボックス名 /受信トレイ/
- クライアントの予定表を表示するには
- http://
Exchangeサーバー名 /メールボックス名 /予定表/
- クライアントの連絡先を表示するには
- http://
Exchangeサーバー名 /メールボックス名 /連絡先/
- Infoという名前のパブリックフォルダを表示するには
- http://
Exchangeサーバー名 /public/info/
- 特定のメッセージを表示するには
- http://
Exchangeサーバー名 /inbox/メールボックス名 /任意のメッセージ名(ファイル名)
OWAでは,HTML 3.2およびECMA(European Computer Manufacturers Association)のスクリプト標準に完全に準拠するブラウザをサポートしているため,Internet Explorer 4.0以降やNetscape Navigator 4.0以降の使用が勧められている。しかし,パブリックフォルダとプライベートフォルダの両方を階層表示したり,ファイルなどをドラッグ&ドロップで投稿したりと,OWAの機能を最大限に活用するには,Internet Explorer 5.0以降を利用することが推奨されている。
以上のURLをうまく利用すると,企業イントラネットアプリケーションとExchange 2000とを手軽に統合することができる。
Exchangeは,バージョン5.xでもHTTPアクセスをサポートしているが,Exchange自身にHTTPの実装が搭載されていたわけではない。バージョン5.xでは,IIS 4.0のWWWサービスと,Exchange Server側のOWAコンポーネントを利用していた。Exchange Server 5.xのOWAは,IIS 4.0の一部であるかのように動作し,Webブラウザとの通信には,主にASP(Active Server Pages),CDO(Collaboration Data Objects) 1.2,MAPIを使用していた。しかし,パフォーマンス面で問題があったため,Exchange 2000ではアーキテクチャそのものが見直され,今後はMAPIもASPも使用せず,OWAはISAPI DLLとして実装され,インフォメーションストアへのアクセスにはWebDAVとXMLが使用されることになった。
OWAは,Exchange 2000がシングルサーバー環境の場合でもマルチサーバー環境の場合でも,どちらでも使用できる。マルチサーバー環境のことを「フロントエンド/バックエンド構成」と呼ぶのだが,これについてはすでに説明したとおりである。
一方のWebDAVとは,HTTP1.1の拡張機能であり,Webを共同作業に適した書き込み可能メディアとして扱うためにRFC2518で提唱されている仕様である。通常,Webは読み取り専用で使用され,ユーザーは必要な情報を表示したり,ファイルをダウンロードしたりするのみである。しかし,WebDAVには複数のユーザーを想定した上書き防止機能があるため,WebDAVを利用すれば,クライアントからWebのリソースを発行したり,ファイルにロックをかけたりという具合に,ファイル管理を容易に実現できる。
このようなWebDAVを利用しているクライアント機能が,Webフォルダである。Webフォルダを利用すると,ユーザーはWindowsエクスプローラを通じてIIS 5.0やFront Page Server Extensionsを実行している任意のコンピュータと透過的に接続し,Webサーバー上のファイルをローカルハードディスク上にあるファイルと同じように読み書きできるようになる。Webフォルダを作成するには,デスクトップ上の[マイネットワーク]から[ネットワークプレースを追加]をダブルクリックし, [ネットワークプレースの追加ウィザード]を実行する。ここで,接続先となるネットワークプレースの場所を求められるので,もしsampleという名前のパブリックフォルダを使用するのであれば,次のようなURLを入力すればよい。
http://Exchangeサーバー名 /Public/sample/
WordファイルやExcelファイルを保存するとき,保存先としてWebフォルダを指定すれば,そのファイルはWebDAVを用いて自動的にExchange 2000のWeb Storage Systemに書き込まれる。この機能を用いれば,コンピュータの操作に詳しくないホワイトカラーのユーザーであっても,通常のWordやExcelの操作の延長でメッセージを配信したり情報を公開したりすることができるため,教育コストの削減が期待できる。
なお,Exchange 2000が利用するHTTPやWebDAVといった機能は,どちらもIIS 5.0の機能であって,Exchange 2000そのものの機能ではない。その点,Exchange 2000は従来バージョンに増してIISと緊密に連携するようになっている。
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