Exchange 2000徹底解剖
開発環境としてのExchange 2000 Server

OWAのまとめ

 このように,Exchange 2000 ServerにはOWAが用意されているため,HTTP経由でアクセスするときには,開発者が特にユーザーインタフェースを用意しなくとも,Webブラウザを使ってメッセージをやり取りしたり,予定表や連絡先を利用したりすることができる。通常,これらの操作を実行するためには,Outlook 2000などが必要となるわけだが,OWAを使用すれば,Webブラウザさえあれば,どこからでもExchange 2000 Serverを利用できることになる。そのため,各クライアントにOutlook 2000をインストールする手間が軽減されるばかりか,インターネットからの利用も容易となり,外出先からのアクセスにも対応できる。

 とはいえ,OWAはOutlook 2000のすべての機能を提供するものではない。以下の機能はOWAでは提供されないので,OWAはOutlook 2000を完全に置き換えるものではない。

  • オフラインでの送信
  • 履歴
  • 印刷テンプレート
  • 時間指定送信
  • 有効期限
  • スペルチェッカー
  • スケジュールの確認
  • Outlookルール

 ところで,開発者はOWAが提供するURLのコマンド機能を用いることで,デフォルトのOWA以外のレイアウトで表示することも可能となる。

 “http://サーバー名/Exchange/”のURLを要求したとき,サーバーから送信されてくる内容は,List 1のようになっている(Internet Explorer 5.0以降でアクセスした場合)。List 1を見るとわかるように,これはTable 1に示したURLコマンドを単純にフレームで区切っただけのものである。たとえば,List 1を修正したList 2のようなHTMLドキュメントをIIS上に用意すれば,そのHTMLドキュメントを通じ,画面のレイアウトをFig.2-19のようにカスタマイズしたOWAを使うことができる。Fig.2-19は単純にフレームを3つに区切り,左にナビゲーションバー,右上にメッセージ一覧,右下に予定帳を表示したものにすぎないが,よく使う機能をボタンとして配置してJavaScriptで処理させるなど,より高度なカスタマイズも実現できる。

 このように,OWAではレイアウトを自由に変更できる。そのため,OWAを使いつつ,独自の機能を加えたイントラネットシステムを容易に構築することも可能である。ASP(Active Server Pages)などを活用すれば,さらに柔軟で豊富な機能を備えたイントラネットシステムとなるだろう。

Fig.2-19 List 2の実行結果(図版をクリックすると拡大可能)
fig_19

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