Exchange 2000徹底解剖
Exchange 2000 Conferencing Serverが描く次世代コラボレーションの全貌

●MADCAPとIGMP
 マルチキャスト通信にはクラスDのIPアドレス(224.0.0.1から239.255.255.255)を使用することになっているが,さらに,その範囲内でのアドレスの利用にも約束事がある。詳細はRFC2365を参照してほしいのだが,マルチキャスト グループ アドレスをネットワークでプライベートに使用する場合は,239.192.0.0から始めることになっている(サブネットマスクは255.255.0.0)。

 カンファレンシングサーバーは,自分自身が使用するグループアドレスを自動的に生成する機能を備えており,予約された会議分のアドレスを持てるようになっている。しかし,この機能を利用すると,ネットワーク上に存在する別のマルチキャストサーバーのIPアドレスと重複してしまうおそれもある。この問題を解決するため,グループアドレスを取得するときには,MADCAP(Multicast Address Dynamic Client Allocation Protocol)機能を使用するとよい。MADCAPとは,マルチキャスト通信で使用するグループアドレスをMADCAPクライアントに対して動的に割り当てるためのプロトコルである。Windows 2000の場合,DHCPの付加機能としてMADCAPが組み込まれており,マルチキャストスコープを定義するときには[DHCP]管理ツールを利用する。しかし本来,DHCPとMADCAPは別々の機能であるので,混同しないでほしい。

 ところで,ここでいうMADCAPクライアントとは,カンファレンシングサーバーのことを指す。カンファレンシングサーバーはMADCAPを用いて,会議ごとにマルチキャストグループ用のIPアドレスを取得し,会議を開催する。カンファレンシングクライアントは,最初だけはHTTPのユニキャスト通信を行うが,それ以降は,このグループアドレスを利用してオンライン会議に参加するようになる。

Fig.3-26 MADCAP
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 では,カンファレンシングクライアントが特定のグループアドレスに参加する仕組みを説明しよう。特定のグループアドレスに参加または離脱するときには,IGMP(Internet Group Management Protocol)というプロトコルを使用する。まず,カンファレンシングサーバーが,開催される会議のグループアドレスをアナウンスする。その会議に参加するカンファレンシングクライアントは,IGMP Membership Reportメッセージをカンファレンシングサーバーに送り,グループアドレスに参加する。

 もしカンファレンシングサーバーとカンファレンシングクライアントが異なるサブネットに存在する場合は,そのあいだに設置されているルータが,各サブネットに対してIGMP Membership Queryメッセージを送り,会議に参加したいカンファレンシングクライアントがあるかどうかを確認する。最低1台のカンファレンシングクライアントからIGMP Membershipメッセージで応答があると,ルータはそのサブネットにもオンライン会議のデータを送る。もしクライアントが1台もIGMP Membership Queryメッセージに応えないならば,そのサブネットにはデータが送られない。

 また,会議を終了したり,途中で会議を抜けたりする場合には,カンファレンシングクライアントがIGMP Leave Groupメッセージを送り,グループアドレスからの離脱を自ら伝える。IGMP Leave Groupメッセージは,IGMP Ver.2の機能である。

Fig.3-27 IGMPメッセージ
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 ところで,Exchange 2000のカンファレンシングサービスは,可能な限りマルチキャスト通信を利用する。しかし,すべてのクライアントがマルチキャスト通信をサポートしているとは限らない。「H.323には準拠しているものの,マルチキャスト通信はサポートしていない」というクライアントのために,Exchange 2000 Conferencing Serverには「Microsoft Exchange H.323 Bridgeサービス」が搭載されている。このサービスは,マルチキャストのグループアドレスに参加できないクライアントの代わりに,会議のデータを受け渡してくれる。

 このように,Exchange 2000のカンファレンシングサービスは,幅広い環境で利用できるのである。

(竹島弓理,NRIラーニングネットワーク

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