インターネットアプリケーション時代の企業ネットワーク再設計
アプリケーション形態の変革と物理ネットワークの再設計

アプリケーション形態とネットワーク設計

 すでに解説したとおり,一般的な企業ネットワークにおいて,サーバーPCは同じネットワーク上に設置されることが多い。ネットワークの管理者から見た場合,サーバーPC間の通信は,通信量を事前に想定することもでき,予想を越えたトラフィックにも比較的対処しやすい側面を持つ。それに比べると,クライアントPCとサーバーPCとのあいだで発生する通信は,そのあいだに存在するさまざまなネットワーク要素の影響を受けるため,トラフィックを事前に予測することが難しく,問題が発生したときの原因究明と対処が困難になることが多い。つまり,ネットワーク設計では,「クライアントPCとターゲットサーバーPC(クライアントPCが直接通信するサーバーPC)との通信をいかにスムーズに実現するか」を焦点とすべきなのである。この意味から,ネットワーク設計では,アプリケーション形態,特にクライアントPCとターゲットサーバーPCとのあいだで交わされる通信について理解しておく必要がある。

 ここまでに解説したアプリケーション形態と,発生する通信についてまとめておこう。

Table 1-1 アプリケーション形態と発生する通信クリックすると別ウィンドウで表示可能

アプリケーション形態 ターゲットサーバー 通信頻度 通信のトリガー
クライアント/サーバー型アプリケーション データベースサーバー 低い データベースの参照または更新
三階層型アプリケーション アプリケーションサーバー 非常に低い クライアントアプリケーションのデータ参照または更新要求
Webベース型アプリケーション Webサーバー 高い ページまたは画像の表示要求
ターミナルサービス型アプリケーション ターミナルサーバー 非常に高い マウスまたはキーボード操作

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