インターネットアプリケーション時代の企業ネットワーク再設計
アプリケーション形態の変革と物理ネットワークの再設計

サーバー運用形態の変化

 本稿の執筆時点で多くの企業ネットワークで使用されているWindows NTベースのサーバーは,「分散」を機軸に展開されているはずである。なぜなら,Windows NTのアーキテクチャでは,1つの高速サーバーで全アプリケーションを動作させるよりも,1つのサーバーでは1つのサービスのみを動作させたほうが安定して稼動するからである。

 このことはサーバーの乱立を生み,その管理コストを含めてTCOを増加させる要因となってきた。そのため,今日の企業ネットワークでは,分散してしまったネットワークとサーバーをいかにしてIT部門に一極集中させるかという点が重要な命題となっている。

 その一方で,複雑化しているサーバー運用を外部の専門業者に委託する動きも活発化している。これはインターネットの普及に伴った傾向である。具体的には,企業ネットワークのクライアントPCから,インターネットを介して外部管理されているサーバーにアクセスすることになる。このような運用形態は,旧来のメインフレームシステムで「アウトソーシング」と呼ばれていたサービス内容を,PCとインターネットを基盤として提供するものだと考えればよい。このようなサービスを提供するアプリケーションは,「Webベース型アプリケーション」や「ターミナルサービス型アプリケーション」として実装されることが多いようである。

 このようなサーバー運用の外部委託は,その形態に応じて,「ハウジング」「ホスティング」「アプリケーションサービスプロバイダ」などと呼ばれている。各種形態の特徴を示しておこう。

Table 1-2 サーバーの外部運用形態クリックすると別ウィンドウで表示可能

運用形態 サーバーの資産保有者 サーバー:利用企業数 備考
ハウジング ユーザー 1:1 ユーザーのサーバーをプロバイダが預かり運用する
ホスティング プロバイダ 1:1 プロバイダがユーザー専用に準備したサーバーを準備し、運用を含めたサービスとして提供する
アプリケーションサービスプロバイダ プロバイダ 1:n プロバイダが不特定顧客向けに準備したサーバーで特定業務を運営できるように準備し、サービスとして提供する

Prev 8/18 Next