インターネットアプリケーション時代の企業ネットワーク再設計
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いまさら聞けない!?ネットワーク機器再入門
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すでに述べたとおり,本稿の執筆時点において,TCOの削減を目的としたサーバーの集中化が社内ネットワーク設計におけるテーマの1つとなっている。サーバーの物理的な設置場所をIT部門が存在する本社などの一拠点に集中させることで,全社的な管理ポリシーの適用を徹底し,物理的な管理を厳格化することができる。
しかし,複数の遠隔拠点に分散しているネットワークにおいて,極端にサーバーを集中化させると,今度はレスポンス速度が極端に低下するなど,利用者の利便性を損なうおそれが高くなる。ここでは,利用者の利便性やコストなどとトレードオフをしながら,サーバーを集中化させるための基本方針について解説しておこう。
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クライアント/サーバー型アプリケーションの場合,データベースサーバーを集中化し,本社のサーバーセグメントなどに設置することは難しい。すでに説明したとおり,クライアント/サーバー型アプリケーションでは,クライアントPCでトランザクション制御が実行されるため,クライアントPCとサーバーPCに低速回線が介在すると,障害を受けやすくなるのである。三階層型アプリケーションにおいても同様に,クライアントPCとアプリケーションサーバーとのあいだに低速回線が介在することは好ましくない。したがって,アプリケーションサーバーとデータベースサーバーのみを集中化させるのは,避けたほうがよいだろう。
業務システムのサーバーを集中化させるためには,アプリケーションをWebベース型にするのが,最も確実な方法である。しかし,この方法を採用すると,Webベース型ではない業務システムを再構築する必要が生じるため,多くの費用と開発期間が必要となる。
クライアント/サーバー型アプリケーションや三階層型アプリケーションをWebベース型アプリケーションに再構築することなく,そのままサーバーの集中化を実現するためには,Windows 2000 Serverなどに搭載されているターミナルサービスを利用するとよい。すでに説明したとおり,ターミナルサービスを利用するとクライアントPCに相当する機能も含めて集中化できるため,クライアントPCにおけるアプリケーションのバージョン管理からも解放される。このため,TCO削減に対して,Webベース型アプリケーションと同等の効果を得ることができる。
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