インターネットアプリケーション時代の企業ネットワーク再設計
いまさら聞けない!?ネットワーク機器再入門

電子メールのサーバー集中化

 クライアント/サーバー型の電子メールシステムの場合,電子メールサーバーのみを集中化すると,ネットワークに大きな負担をかけることになる。また,レスポンスが著しく低下し,利用者の利便性も大きく損なわれるので,電子メールサーバーのみを集中化してはならない。電子メールサーバーを集中化させたい場合には,業務システムの場合と同様に,Webベース型の電子メールシステムを採用するか,ターミナルサービスの採用を検討すべきである。

 なお,電子メールサーバーを集中化した場合,電子メールサーバーの接続位置を,利用者セグメントからWANセグメントに変更する必要があるため,注意する必要がある。

Webベース型の電子メールサーバーの耐久評価

 使用している電子メールシステムがWebベース型に対応しているからといって,単純に電子メールサーバーの集中化を進めるのは,いささか早計である。たとえば,Exchange Server 5.5にはOutlook Web Accessという機能が搭載されており,Webベース型として利用することも不可能ではなかったが,多くのユーザーを同時に処理することはできなかった。これは,Exchange Server 5.5の構造的な問題に起因する。Webベース型として本格的に利用するためには,Exchange 2000 Enterprise Serverを導入し,フロントエンド/バックエンド構成を採用すべきである(詳しくは,「Exchange 2000徹底解剖」,および同記事中の「フロントエンド/バックエンド構成」を参照してほしい。)。

 Webベース型の電子メールシステムを採用する場合には,どの程度の同時接続に耐え得るのかを,十分に調査していただきたい。

ファイル共有サーバーの集中化

 ファイル共有サーバーを集中化すると,クライアント/サーバー型の電子メールシステムと同様に,ネットワークに大きな負担がかかり,利用者の利便性も損なわれることになる。ファイル共有サーバーを集中化したい場合には,共有しているデータのレプリカを本社に作成し,そのレプリカをバックアップすることで,TCOの削減と利用者の利便性の確保を両立できる。

 このような用途には,Windows 2000 Serverに搭載されているDFS(Distributed File System:分散ファイルシステム)というサービスが適している。DFSにはファイル共有のレプリケーションを実行する機能が提供されているため,各拠点に散在するファイルサーバーのレプリカを本社に作成し,作成したレプリカを一括バックアップすることが可能となる。また,DFSのファイル共有では,接続するためのUNCが「\\ドメイン名\共有名」となり,万一ファイルサーバーがダウンしても,レプリカを保持している別のファイルサーバーに対して要求が自動的にリダイレクトされる。このため,耐障害性も向上する。

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