我々はCDSP(コンテンツ・ディストリビューション・サービス・プロバイダ)であるFrom Netinsider(25)

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» 2001年04月10日 12時00分 公開
[Vagabond,@IT]

<vol.25の内容>

「インタビュー特集:AII企画株式会社 取締役 チーフ・ストラテジスト 八尋俊英氏 (1)」

独自のサーバ運用技術を駆使し、大容量コンテンツを配信する新事業を展開するAII企画は自らをCDSP(コンテンツ・ディストリビューション・サービス・プロバイダ)と呼ぶ




■■ トップインタビュー ■■
AII企画株式会社
取締役 チーフ・ストラテジスト
八尋俊英氏 (1)




CATV各局のヘッドエンドに配信サーバを設置し、
ブロードバンド時代の大容量コンテンツをユーザーへ


 主としてケーブルインターネットを活用したブロードバンドインターネット環境において、独自のサーバ運用技術を駆使し、大容量コンテンツをユーザーへ届ける新事業を展開するAII(エー・アイ・アイ)企画株式会社。事業会社への移行を直前に控え、ケーブルテレビ(CATV)各局、コンテンツホルダー、そしてユーザーなど、多方面からの期待が寄せられている。

今回は同社取締役、八尋俊英に、来るべきブロードバンド時代において同社がどのように機能し、事業を推し進めてゆくのかを伺った。東京・品川、御殿山ヒルズ内の本社をお訪ねして、2000年11月16日に実施したインタビューを、今回から3回にわたってお届けする。


構想誕生は1999年の9月ごろ。それは、アットホームさんが東急さんや近鉄さんにアットホームブランド傘下でのフランチャイズにならないかと回っていた時期でもあります

━━まずどのような背景があり、立ち上げに至ったのでしょうか?

八尋:2000年3月に、ソニー、東京急行電鉄、トヨタ自動車3社の合弁会社として設立に至りました。東急さんもトヨタ自動車さんも、以前からCATVを運営なさっていたのですが、“ブロードバンドネットワーク”がもはや机上の概念ではなくなり、今後いっそう注目を浴びることになる時代を眼前に、共通の課題が生じていました。

 従来のCATVは、とりもなおさず“放送事業”でした。それが今度は、通信技術やコンテンツ系のアプリケーションといった分野も網羅しなければならない。お互い同じ悩みを持っているのであれば、一緒にやってみましょうか、ということが発端です。著作権管理なども集中させて、コンテンツメーカーから責任を持ってユーザーへ届ける共通のプラットフォームとして機能できればという姿勢です。

━━そのお話があったのはいつぐらいなのですか?

八尋:ちょうど1999年の9月ごろだったと思います。実はそのころ、アットホームさんが東急さんや近鉄さんにアットホームブランド傘下でのフランチャイズにならないかと回られておりまして、皆、危機感を抱いていたそうです。

 ご存じかと思いますがアメリカでは、CATV局自体はインターネット事業をしていませんでした。そこで“傘下”という発想が成り立ったわけですが、日本では東急さんをはじめ、皆自前でエンジニアを雇い、ISPを始めていたんです。

 そういった状況下において、集約する理由は見えづらい。アットホームさん自体、強力なマーケティング・ブランドを確立しているわけではないし、とりたててコンテンツ・アプリケーションの力があるわけでもない。

 われわれの抱える課題は、Eコマースを主体にしたプラットフォームの構築や、ケーブルモデムを次世代化してゆくことでした。つまり、共同で推し進めて合理化が図れる部分は皆で行い、それ以外は各局さんとも独立したスタンスを保てることができればよいわけです。

 そういった発想から、私どもは自らの事業をCDSP(コンテンツ・ディストリビューション・サービス・プロバイダ)と呼んでいます。

━━現在、ほかのCATV各局も数多く参加なさっているようですが……

八尋:はい。東急ケーブルさんはいってみれば日本の“独立系”CATVとして確固たるポジションを確立していらっしゃいましたので、「東急さんがやるのであれば……」ということで、皆さんから賛同をいただいた向きもあります。

 中部圏のひまわりネットワークさんや関西圏の近鉄ケーブルネットワークさん、加えて関西ではすでにネットワークを組んでいらっしゃった関西マルチメディアサービスさんも同じような課題を抱えていらっしゃったので、現在参加いただいています。

━━今後事業化に向けてのスケジュールはどのようになっていますか?

八尋:まず増資を行う予定でおります。記事として配信されるころには正式に発表しているかもしれませんが、現在資本金1億5000万円ですが、これが1けた増える形になるでしょう。無事増資ができて、早ければ2001年1月末くらいから一部コンテンツを商業化、つまり課金体系に移し、春ごろには商用サービスの全面開始を予定しています。

配信実証実験により、メジャー・コンテンツを流すインフラとして値することが証明できたと思う

━━御社の事業を便宜的にとらえると「ネットワークの構築」と「コンテンツの提供」という2つの柱があると思うのですが、両者を簡単にご説明願えますか?

八尋:CATV各局さんの協力を得て、各局のヘッドエンドに独自のコンテンツ配信サーバを設置し、これらを広帯域のインターネットやバックボーンで結びます。全国の大容量コンテンツをユーザーの最も近い配信サーバに前もって配信することができ、快適にコンテンツを楽しむ環境が実現する仕組みです。

 そこに、全国のコンテンツ・プロバイダや私ども自ら作成した高品質で多様なジャンルのコンテンツを提供してゆくことになります。

━━2000年7月から行っている配信実証実験では、どのような結果が得られましたか?

八尋:最初に行った実験は、人気アーティスト「TUBE(チューブ)」のライブ映像です。2000年7月20日の海の日に配信が行われたのですが、CATVインターネット利用者の約3分の1に相当する8万世帯のうち、実にアクセス数(セッション数)は2万を超えました。

 私どもの予想をはるかに上回っていたので、サーバのダウンといった状況も発生しました。同時にアンケートも行ったのですが、いままでにないPC上の画質にユーザーの方々は満足なさっていたようです。むろん画像についてはまだ実験段階でして、各局のインフラの置かれている状況、つまりマルチキャストの有無などで画質が左右されることはありましたが、音声に関しては皆さん何の違和感も抱かなかったようですね。

 それまでも東急さんなどが単発的に多摩川の花火大会などをストリーミングで流したことはありましたが、なによりも今回は、メジャー・コンテンツを流すインフラになるという証明ができたと思います。

 1社のCATV局ではなく、全国に届く。その分説得力も増して、音楽事務所などからの注目度も高まったといえます。日本で初めての試みでしたが、私どもはじめ各局さんやユーザー、果てはアーティストサイドも含め、プラスとなった結果でしたね。

━━プロモーションは行っていたのですか?

八尋:それぞれの局とAIIが共同で行っていました。ケーブルプログラムガイドに掲載したり、メールマガジンやホームページで告知したりしたのが効を奏したようです。

━━先ほど事業化に向けて増資を行うとのことでしたが、新たに株主となるのはキャリア系やインフラ系なのでしょうか?

八尋:いいえ。どちらかというと、CATVに携ったことがある、もしくはADSLやFTTHを今後展開しようとしている方が株主さんとなります。加えて事業と同じく、全国展開を迎えるにふさわしい株主構成となるでしょう。

━━御社はCATVインターネットだけではなく、DSL、FTTHを含め、今後ブロードバンドたる媒体はすべて対象にしていくということですか?

(つづく)


八尋俊英(やひろとしひで)氏 略歴
国内金融機関にて約10年、通信・IT分野のM&A、海外プロジェクト・ファイナンス、事業提携戦略のコンサルティングに従事。1995〜1996年にかけて、英国ロンドン市立大学コミュニケーション政策センターにて通信・メディア政策分野の修士号取得
1998年 ソニー株式会社に転職。出井社長(現会長)直属の通信サービス事業室に設立時から参加
1999年6月 ソニー第1種電気通信事業進出において、ネットワーク企画部 統括課長として現場指揮
2000年4月 ブロードバンド・コンテンツ・ディストリビューション事業としてAII企画取締役を兼任する一方、ソニーCSNCカンパニー通信サービス事業部戦略開発課統括課長として、ソニーの東急ケーブルテレビジョン10%出資を現場で交渉
2000年9月 東急ケーブルのブロードバンド事業推進室室長代理を兼任
2000年11月 ソニーのコンシューマ向けブロードバンド配信事業を主として行う新設のソニー(株)CSNCカンパニー事業企画室室長を拝命。また近々のAII事業化においても取締役に留任の予定

(取材:Netinsider編集部/文:古場俊明)


<本記事は、2000年12月7日の【NETINSIDER】(No.84)に掲載されたものです>

次回「From Netinsider Vol.26」の掲載は4月17日の予定です

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