現在、多くのメーカーが製品カタログやホームページなどで、ブロードバンドルーターのスループットを公開している。この「スループット」とはどんなものなのだろうか。
スループットは、理論値に対して実効速度という意味で使われ、「実際にどの程度の速度が得られるのか」を表している。ブロードバンドルーターでは、ADSLモデムと接続する「WANポート」とパソコンなどを接続する「LANポート」に、それぞれパソコンを接続しておき、FTPなどでファイル転送を行うことで、どの程度の速度が得られるのかを計測している。つまり、ブロードバンドルーターのNATやIPマスカレードといった機能でIPアドレスを変換することにより、どれくらいのロスがあるのかを知ることができるわけだ。
ただ、スループットの測定方法は、メーカーによってバラバラなのが実情だ。たとえば、A社の製品はフィルタ機能をONにしているのに、B社はOFFにしていることもある。あるいは双方のネットワークインタフェースを100Mbps対応で接続していることもあれば、10Mbps対応のものを利用して計測している例もある。
また、ADSL接続サービスの場合、仮にルーターのスループットがどんなに高速であったとしてもADSL接続サービスの通信速度(8Mbps)を超えることはないため、そのルーターの高いスループットは「余力」でしかなくなるわけだ。ブロードバンドルーターを選ぶうえで、回線の通信速度以上のスループットは確保していることが望ましいが、高スループットの製品を選んだから、回線が高速になるわけではないことを十分に理解しておきたい。
ブロードバンドルーターはパソコンをネットワーク経由で接続するため、LANの知識をはじめ、いくつかの専門的な知識が必要になる。また、多くのブロードバンドルーターはさまざまな機能をブラウザから設定できるようにしているため、LANの設定が正しくなければ、ブロードバンドルーターの機能設定ができないことになる。そこで、大切なのが導入のしやすさだ。
たとえば、マニュアルに具体的な設定例や手順が載っているか、設定メニューの用語がわかりやすいか、などの点はぜひ確認しておきたい。メーカーによっては設定メニューの体験ページやマニュアルそのものをウェッブで公開しているので、気になる製品はチェックしてみよう。