前ページで紹介したスピードネットは、一定間隔の電柱に無線基地局を設置して、広域にエリアを展開しようとしている。つまり、面的な拡大を目指しているのだ。一方、ここで紹介するワイヤレスインターネットサービス(以下WIS)の「WIS-net」とファミリーネット・ジャパン(以下FNJ)の「CYBERHOME」は、同じ無線方式ながら、基地局をマンション屋上に設置してスポット的にエリアを展開しようとしている。WIS、FNJともに、マンション開発業者が資本参加したり、マンション管理会社と提携したりしているのだ。したがって、関連する開発業者が建設するマンションから順次サービスが始まっている。首都圏では、6割程度の世帯が集合住宅に居住しているとのことなので、市場性は高いと見ていいだろう。
また、屋上に基地局を設置することで、マンション住民はもちろんのこと、マンションから半径約400メートル以内の住宅もサービス対象地域となる。現在、WIS-netとCYBERHOMEを合わせて、東京、神奈川、千葉、埼玉で約20棟のマンションに基地局を設置してサービスを始めており、新築マンションだけでなく、既設のマンションにも管理組合と相談しながらサービスを展開している。
ここで両社のサービス内容を紹介すると、WIS-netの場合、2Mbpsで月額3900円、初期費用として3万3000円(工事内容により異なる)かかる。一方のCYBERHOMEは、1Mbpsで月額3980円、初期費用として3万5000円(こちらも工事内容による)必要だ。ADSLの価格が下がっており、コストパフォーマンス的に見劣りするのは否めない。
接続スピードに関しては、両社ともベストエフォートながら、同じ基地局を共有する複数ユーザー間で公平性が保たれる無線方式を採用しているので、だれかが大量のトラフィックを流して他の利用者が迷惑するといった事態は起こらないだろう。
周波数は2.4GHzを利用するため、基地局とアンテナの間に遮へい物があると利用できない。ちなみに、両社とも無線だけでなく、マンション内の各戸をHomePNAで接続する方式も併用している。電話線の幹線が光化されていてADSLが利用できないマンションなどでは当分の間活躍してくれそうだ。