サントリーもモバイル市場に参入
プロントをホットスポット化
通信会社や電話会社はもちろん、ファーストフード店、ホテルなどさまざまな企業がホットスポット参入を計画しているが、サントリーも自社で運営するカフェ「プロント」でホットスポットの展開をもくろんでいる。現在は、東京秋葉原のプロント秋葉原店で本格サービス開始に向けた実験を行っている最中だ。
「サントリーがなぜ通信事業に?」と不思議な気がするが、サントリー情報システム部の長田奉公氏は店舗の付加価値を高め、集客力を上げるためだと説明する。昼はカフェ、夜はバーという形態のため、サラリーマン・OLの利用者が多いので「ビジネスマンの情報基地として利用してほしい」という。長田氏によれば情報化で外出先で仕事がすべてこなせるようになるかと思いきや、「情報化が進めば進むほど外回りのビジネスマンの帰社する回数は逆に増える」のだという。
理由はこうだ。商談用にノートパソコンを持ち歩いていると、扱うデータ容量は日増しに大きくなる。確かに、PowerPointなどでちょっと凝ったプレゼン資料を作ると、すぐ何Mバイトというファイル容量になる。このようなデータのやり取りをPHSや携帯電話で行うのは非現実的な話だ。そこで結局データを取りに帰社する羽目になる。帰社にはパソコンの充電、社内LANでしか閲覧できない資料を見る目的もあるようだ。
だが、ホットスポットによるモバイルブロードバンドが実現すると、大きなデータも外出先から取り込むことができる。その分ビジネスマンは効率よく動けるわけだ。現在、同社では企業数社(非公開)と契約してVPNの実験を行っているという。これなら、プロント店内からセキュリティが確保されたまま社内LANにアクセスできる。また、同様の仕組みでユーザーが加入している任意のプロバイダに接続できる仕組みを構築すれば、自分のメールやホームページ作成環境などを外出先で使えるようになるという。
既設店舗への導入は
無線LANが最適
最近はLANポートを装備したノートパソコンも多いので、無線にこだわらなくても各テーブルにイーサネットのポートを設ければいいような気もするが、「既設店舗へケーブルを敷設する工事はコストがかかり、掃除など店舗のオペレーションという点からも無理がある」(長田氏)。ただし「コンセントは新たに設置しないわけにはいかなかった」という。最近のノートPCはバッテリー*6の性能が向上したとはいえ、無線LANカードを利用して通信を行っていると驚くほど早くバッテリーを消費する。一部には、コンセントの利用を禁止しているホットスポットもある中、モバイルユーザーの心をくすぐるうれしい配慮といえるだろう。
今後の展開計画については「都内のプロントを中心に4月まで5店舗、6月までに20店舗」(同氏)をホットスポット化する予定だという。ちなみに、プロント1店舗あたりのホットスポット化費用は約80万円で、初期投資コストとしてお店側が負担する仕組み。お店側は高い集客力を武器にその分を償却することになる。
またユーザーの利用料金などは未定としながらも、「最初は会社単位の契約で1ユーザーあたり月額1000円程度の会費制で運用」(同氏)するとのこと。「セキュリティ管理などために専任の管理者を置いたり、バックボーンなどの費用を捻出する必要がある」(同氏)ため、ユーザーにも接続料金という形でそれ相応のコスト負担が求められる。
リナックスカフェ
プロント秋葉原店 |
〒101-0021
東京都千代田区外神田3-13-2 リナックスビル1F
営業時間:カフェタイム 9:00〜17:30
バータイム 17:30〜23:00
www.pronto.co.jp
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