日本レコード協会は4月18日、「複製制御CDの表示に関する運用基準(暫定版)」を制定し、コピープロテクトCDに表示するロゴマークやパッケージシールなどの表示内容を示した。海外でコピープロテクトCDによって消費者が混乱したのは、表示が適切でなかったせい、という理由で、レコード会社各社にこのマークでの統一を呼びかけている。
レコード会社各社も、パソコン、CD-R、プリンタなどを利用したCDの完全なコピーを防ぐことは、CDの売り上げ低下の有効な対策になるとして理解を示している。ただし、この運用基準やロゴマークが発表されたあと、ウェブ上などでも消費者による反発に近い意見は多く、問題点を指摘する声は大きい。
例えば今回の運用基準では、どのようなコピープロテクト技術を採用するかは、すべて個々のレコード会社にゆだねられている。となると、ある会社のロゴマーク付きのコピープロテクトCDは、いつも使っているCDプレイヤーで再生できたのに、別の会社のロゴマーク付きのコピープロテクトCDは再生できなかった、ということが起こり得る。
エイベックスが再生できるCDプレイヤーの機種名を明らかにできていない点に責任不足という声も聞かれるが、MP3の再生機能の付いたポータブルプレイヤーはどうなのか、カーステレオはどうなのか、DVDプレイヤーはどうなのかなど、このロゴマークはその機種で100%再生できるというお墨付きを与えるものではない。一般消費者にとっては、使っているCDプレイヤー内のドライブが音楽用CDプレイヤーなのか、CD-ROMドライブなのかを判断することなどできないのだから、再生してみるまでは保証は何もないのだ。果たして、そんなロゴマークに何の意味があるのだろうか?
次ページから紹介していくような、てんでんバラバラなコピープロテクト技術を、1つのマークでまとめてしまうのは危険な行為であると感じる。エイベックスのコピープロテクトCDで再生できるカーステレオもあれば、できないカーステレオがあったり、再生できるゲーム機もあれば、できないゲーム機もあったりという状況で、「DVD」「ゲーム機」「カーCD」という言葉に○×を付けるだけで責任が果たせるとは思われない。そんなバクチのような感覚で音楽を購入し、音楽を楽しめる人は少ないと思うのだが。