ヤマハから高級AVアンプ「DSP-AX4600」が登場した。HDMI/iLINKなど最新インタフェース・磨きをかけた自動音場補正などバランスよい機能面に目が行くが、注目したいのは力強さと繊細さを兼ね備えたピュアサウンド。同社が追求した“音の本質”をじっくり検証してみた。
ヤマハの新しいAVアンプ「DSP-AX4600」の仕様を見ると「なるほど中上位モデルとして最新のAV事情に合わせて入力端子や機能をブラッシュアップしてきたんだ」と納得する部分が多い。
DVD-Audioにも対応するHDMI 1.1搭載、iLINK対応、磨きをかけた自動音場補正機能、柔軟性の高い端子のアサイン機能、それに各種設定のメモリ機能など、ヤマハのAVアンプらしいこなれた使い勝手や柔軟性と機能を、限られたコストの中でバランスよく組み込んでいる。
しかし実際に使ってみると、DSP-AX4600の“本質”は機能面ではなく、むしろ大きく変化した音にあることが見えてくるのだ。
従来のヤマハ製AVアンプは優秀なDSPプログラムに支えられていたものの、純粋なオーディオアンプとして見るとやや力不足を感じる場面も多かった。
だがDSP-AX4600でいつものCDをかけてみると、ちょっと驚くような変化を体感した。まるでヤマハの音ではない。アタックが速く切れ味の鋭い、そして解像度も高い。実に小気味よくゴキゲンな音で鳴ってくれる。この新鮮な驚きを生かすには、DSPプログラムを使わないのがいい。
え? ヤマハのAVアンプでDSPプログラムを使わない?
ちょっとしたAV通なら、ありえない話と一蹴するだろう。だがこの新製品の“アンプ”としての質の変化は、おそらく多くの人が想像している以上のものなのだ。
DSP-AX4600はヤマハAVアンプのラインアップで、最上位機のDSP-Z9に次ぐ高級モデルである。実勢価格はおそらく18万円前後になるだろう。ヤマハの現行製品には、この価格帯に相当する製品がこれまでなかった。
シンプルなフロントパネルのデザインなどを見ると、そこにはDSP-Z9にも近い雰囲気を感じることができるが、名前には“Z”を用いず、これまで欠番だった4000番台の数字をつけている。これは内蔵するアンプが7チャンネルだからという。ヤマハ製AVアンプでは、独自のDSPプログラムを最大限に生かすフロントエフェクトというスピーカーを使うことができる。したがって、サラウンドバックをステレオで鳴らそうと思えば、最低でも9チャンネル分のアンプが必要になってしまう。
DSP-Z9は9チャンネル分のアンプを備えているが、DSP-AX4600の場合はコストとの兼ね合いもあり、7チャンネル分のアナログアンプしか内蔵されていない。5チャンネルを超える分、つまり2チャンネル分はフロントエフェクトを使うか、あるいはサラウンドバックに割り当てるかを自分で選択することができる。このあたりが“Z”を名乗らなかった理由だったという。
簡単にDSP-AX4600のポイントをまとめてみよう。
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提供:ヤマハエレクトロニクスマーケティング株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年7月31日