より身近になった“ワンボディ・リアル5.1サラウンド”──新YSPを体験してみた(1/3 ページ)

ワンボディに搭載した数十ものスピーカーを個別制御して5.1サラウンドを作り出す“デジタル・サウンド・プロジェクター”の第2世代モデル「YSP-800」「YSP-1000」が登場した。自動システム調整機能など簡単設定を実現し、プライスダウンも図ってより身近になった「YSP-800」を体験してみた。

» 2005年10月03日 00時00分 公開
[ITmedia]
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「スピーカーの基本的な数とは? 」と問われれば、何本と答えるべきだろうか。

 普及度で考えれば、ステレオ再生が主流であり、すなわち、2本が正解といえる。単一のスピーカーで表現するモノラルに対し、2本で音場を構成できるステレオ再生では、左右の位置関係はもちろん、奥行きの表現すら可能だ。さらに、映画館やホームシアターで利用されるサラウンドでは、最低でも3〜4本、場合によっては数十本のスピーカーを観客の周囲に配置することで、音の方向性や包囲感を高めている。

 しかし、ヤマハでは、昨年末にリリースしたデジタル・サウンド・プロジェクター「YSP-1」により、サラウンドという命題に対して、「1本」という解もありうることを示した。ただし、1本とはいえ、疑似的に包囲感を高めるバーチャルサラウンド技術とはまったく異なる。「YSP-1」の場合はあくまでも、リスナーの耳に5.1サラウンドを届けるために必要な数のスピーカーユニットを、“ワンボディ”に収めた構造となっている。

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「YSP-1」

 つまり、40個の超小型スピーカーユニットを搭載し各々から発せられた音を指向性のきわめて高いビームにする仕組みだ(超小型スピーカーのほか、2個のウーファーユニットも内蔵)。しかも、ワンボディでは実現が難しくなる、音の左右への広がり、リスナー後方への回り込みという点に関しても、“ビーム化した音を壁に反射させる”という芸当により、あっさりクリアしている。

 ただ、欠点もないわけではなかった。つまり、反射を使うがゆえに、設置条件に合わせた調整が必須なのだ。もちろん、部屋の形状(正方形/長方形)、スピーカー位置(壁際の左寄り/中央/右寄り、コーナー)、部屋の大きさを選択して簡易設定を行えば、あらかじめ用意されたセッティングから適切なビーム設定を適用してくれる。

 しかし、その部屋での“最大限の効果”を引き出すためには、より詳細にマニュアルでの調整を行うことが望ましい。そのために「BEAM MENU」という設定メニューも用意され、各チャンネル音を構成するビームの出力角度(垂直/水平)、焦点距離といった細かな項目を追い込めるようになっている。

 とはいえ、この調整作業は決して容易ではない。実際、「YSP-1」の購入者からも、「セッティングのための詳細な手引きがほしかった」「パラメータ設定を行ってくれる訪問サポートがあってもよいのでは」という声が少なからず寄せられていたという。

 今回発表された“デジタル・サウンド・プロジェクター第2世代”となる「YSP-800」「YSP-1000」では、ともにインテリビーム(IntelliBeam)と呼ばれる自動システム調整機能を装備することで、この点を克服した。

photo 自動システム調整機能を装備した“デジタル・サウンド・プロジェクター第2世代”「YSP-800」「YSP-1000」(写真は「YSP-800」)
photo (写真はYSP-800)

 もちろん、「ビーム経路上に壁がない」「壁が吸音素材」「部屋の大きさが幅3〜7メートル、奥行き3〜7メートル、高さ2〜3.5メートルに当てはまらない」「スピーカーと聴取位置の距離が2メートル未満」「ビーム経路上に家具などの障害物がある」といった、従来から苦手としている設置条件すら乗り越えてしまうわけではないが、それ以外の環境であれば、調整に苦心することなく、最大限の効果を引き出せるようになったのだ。

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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年11月2日