4原色だから感じるもの、AQUOSクアトロン「LX3」：野村ケンジが徹底チェック（2/2 ページ）

[野村ケンジ，PR／ITmedia]

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充実した機能を誇るLX3ライン

　これまでの3原色液晶テレビとは別格の色表現を持ちつつ、省エネ性能もトップレベルを誇るLX3ラインだが、それだけにとどまらないところがこの製品の素晴らしいところでもある。なかでも使い勝手にまつわる部分に関しては、かなり充実している。

市販の無線LANアダプター（写真はバッファロー製、推奨品）を接続してワイヤレス化。手軽にインターネットや「ホームネットワーク」を利用できる

　まず購入したユーザーが真っ先に便利と感じるのが、USB HDDによる録画機能だろう。市販の外付けHDDをUSBケーブルで接続するだけで、デジタル放送番組の録画や再生が可能になる。しかもLX3ラインは、ユーザーがよく見る番組や番組ジャンルを学習する「常連番組」機能を持ち合わせているので、こちらを活用してさまざまな番組を自動録画することもできる。それがテレビのリモコン1つで手軽に操作できるのはとてもありがたい。

　一方で、ネットワーク機能の充実ぶりにも注目したい。毎日新聞や近所のスーパーのチラシなどを閲覧することができる「DoTV」のほか、PCからネットに登録した写真を楽しめる「ネットTVアルバム」、ビデオ・オン・デマンドの映像配信サービス「アクトビラ ビデオ・フル」など、専用コンテンツがいくつも用意された。

　新たに「ホームネットワーク」と呼ばれるDLNA機能も搭載している。家庭内のLANにLX3を接続すると、別の部屋にあるレコーダーに録画した番組や、PC内の音楽やビデオなども再生することができるようになる。家庭内のメディアを一元化し、それらをテレビで再生できるわけだ。この機能を活用するにはレコーダーなどのサーバ機器がDLNA対応であることも必須になるが、最近のPCやデジタル家電はその多くがDLNA対応をうたっているため、あまり不便はないだろう。もちろんシャープ製のBlu-ray Discレコーダー「AQUOSブルーレイ」もその1つだ。

DLNAの「ホームネットワーク」画面。AQUOSブルーレイで録画した番組のほか、PCに保存した音楽や写真もネットワーク経由で再生できる

　さらにUSB無線LANアダプター対応（別売）による配線レス化や、同社製レコーダーやラックシアターをテレビ画面に表示される操作パネルからコントロールする「AQUOSファミリンクII」、部屋の明るさに合わせてバックライトを自動調整する明るさセンサーなど、手軽／便利／省エネをキーワードとした機能は多数盛り込まれている。LX3ラインは、クアトロンという画期的な映像テクノロジーを核としたハイレベルな映像を最大の特徴としながら、多機能さや使い勝手の良さを高次元で両立した魅力ある製品に仕上がった。

シャープならではの総合力

3D対応のフラグシップモデル「LV3」ラインも7月末に登場する

　昨年のUV²A、今年のクアトロンといった大きな技術革新がスムーズに進んでいる背景には、垂直統合モデルのシャープだからこそ実現できたアドバンテージがある。全く新しい液晶パネルを導入する場合、一般的にはまずパネルの特性をつかみ、チューニングのノウハウを積むことから始めなければならない。

　しかし、液晶パネルやバックライトの開発から製品の最終的な仕上げに至るまで、社内ですべてを行えるシャープの場合は事情が異なる。パネルの開発と並行してテレビ作りに必要な情報を集め、逆にフィードバックすることもできる。そして最終的な製品化を見据えた専用開発や、部品の能力を最大限に発揮させるノウハウの蓄積も迅速に行える。

　これは、液晶パネルなどの主要部品を部品メーカーから調達する水平分業モデルのメーカーでは対抗しようとしてもできない部分だ。しかもそれは、迅速な市場投入をはじめ、映像美やユーザビリティーの高さという形でユーザーにも大いに還元されることになる。

　もう1つ忘れてはいけないのは、クアトロンが3Dテレビの画質向上にも大きく貢献するということだ。UV²Aによる開口率のアップと4原色化がもたらす光の利用効率向上、そして色再現性のアップにより、従来にない明るさと美しさを併せ持つ3Dテレビが実現する。明るい画面は、つまりスペックに余裕があるということ。メーカーにとっては絵作りの柔軟性を上げ、また視聴者には目が疲れにくい3D映像という大きなメリットをもたらすだろう。7月末に登場する3D対応のフラグシップモデル「LV3」ラインは、われわれにまったく新しい映像体験をさせてくれるはずだ。