新技術をアグレッシブに取り込んだ新“AQUOSブルーレイ”「BD-HDW700」本田雅一が徹底分析(1/2 ページ)

Blu-ray 3DにBDXL、そして先進のマルチタスク性。積極的に新しい規格や技術を取り込み続けるシャープは、最新の「BD-HDW700」でもレコーダーライフを豊かにする機能を満載した。本田雅一氏が徹底的にチェックする。

» 2010年09月06日 00時00分 公開
[本田雅一,PR/ITmedia]

 振り返ると、世界で初めてのデジタルハイビジョンレコーダーを発売して以降、シャープは先頭を切ってレコーダーの新しい分野を開拓してきた。初めてD-VHSへのコピーワンス番組のダビングをサポートし、初めてDVDとBlu-ray Discの両方に録画が可能なハイブリッドレコーダーを発売し、初めて2番組同時のAVC録画をしながらBDビデオ再生が可能なレコーダーを実現した。意外と知られていないが、シャープのAQUOSレコーダー開発部隊は世界初の商品をたくさん生み出してきている、実にアグレッシブなチームなのだ。

 そして今回、世界初のBDXL規格対応した3D対応Blu-ray Discレコーダー「BD-HDW700」と「BD-HDW70」が発表された。BDXL規格は、追記型で3層100Gバイトと4層128Gバイト、書き替え型で3層100Gバイトへと容量を拡大した最新のBlu-ray Disc規格だ。

photo 「BD-HDW700」

 BDXLの仕様が正式に決まったのは今年4月のこと。採用しているBDXLドライブはもちろん自社開発・自社製造のもの(シャープとパイオニアの合弁会社であるパイオニアデジタルデザインアンドマニュファクチャリングが製造)であり、今回も先進性に対して強くコミットする開発チームのカラーがよく現れた製品といえるだろう。

photo 今回、取材に応じてくれたのは、シャープ・AVシステム事業本部デジタルメディア事業部の副事業部長兼商品企画部長、松浦文俊氏。BDXLは、アイデア次第でレコーダーの用途を大きく広げるものだという

 ただ、BDXL規格が発表されたときにもささやかれたように、「100Gバイト以上の大容量に用途はあるのか?」「メディアが高価」という意見を持っている読者もいると思う。例えば、映画は1本あたり2時間から2時間半のものが大半であり、1層25GバイトのBlu-ray Discがあればこと足りる。

 だが、容量というのは増えれば増えただけ用途が生まれるものだ。何より少しずつでも流通量が増えていけば価格は下がり、容量あたりの単価も下がっていく。現在はやや高価なBDXL対応ディスクも、そのうち容量単価では従来のBD-R/BD-REを下回るようになるだろう。これは汎用的な記録メディアに共通する傾向だ。

 BDXLの3層100Gバイトであれば、BSデジタル放送の番組でも9時間半程度、地上デジタル放送なら12時間以上をDRモードで無劣化録画できる。国内の典型的なドラマの場合、全11話で初回・最終回のみ90分スペシャルというパターンが多いが、その12時間分をCMカットなしでまるまる録画してもあまる計算だ。

photo 海外ドラマ好きの本田雅一氏。1シーズンをまるごと保存できるBDXLには興味津々

 また、海外ドラマなら1本はおよそ47分。1シーズンは24話以下なので、有料放送録画(CMなし)やマメにCMカットをする場合、12Mbps以下のAVC録画で1枚に1シーズンを丸ごと記録できる。ほかにもお気に入りのドキュメンタリーシリーズを1枚にまとめたり、長期シリーズ放送ドラマの複数シーズンを1枚にアーカイブするといった使い方も考えられる。10倍モードなら3層ディスクに最長87時間の録画が可能というのだから、使い方の幅は大きく拡がる。まさにユーザーのアイデア次第だ。

 このBDXLによる長時間記録を強力にサポートするのが、改良されたAVCトランスコーダーとマルチタスク性。この2つの特長が組み合わさることで、過去に例のない、快適で多彩なレコーダーライフを楽しめるのだ。

“使える”長時間録画だからこそ生きるマルチタスク性

 デジタル放送をMPEG-4/AVCに変換することにより、少ない画質劣化で記録時間を延ばすAVC録画機能は、当初こそ画質面劣化が少し目立っていたものの、ここ数年の進歩によって画質改善が進んだ。シャープは、MPEG-2をMPEG-4/AVCに直接変換する“トランスコード方式”を採用しているのが特長で、今年の新製品ではトランスコードのアルゴリズムを変更し、とくに圧縮率の高いモードにおけるノイズ感を大幅に低減することに成功している。輪郭の周辺に現れやすいノイズやブロックゆがみがずいぶん目立たなくなった。

 また、このノイズ処理は高圧縮時に解像感を若干下げるが、シャープが「微細化高画質技術」と呼ぶ一種の超解像処理とマッチングを取ることで、スッキリとした像を演出できる。トータルでの見栄えは、かなり良くなっているのだ。例えば、10倍録画モードは以前よりはずっと見やすくなり、記録用として保存しておくには充分といえる画質だ。5倍モードなら鑑賞用としても悪くない。地上デジタル放送のドラマなら、画質はこれで充分と思う人も少なくないだろう。

 そしてマルチタスク性。本体のシステムLSIとは独立したAVCトランスコーダーを搭載しているため、2番組同時にAVC録画を行っていても、システム本体の動作にあまり影響がでない。例えば、BDビデオの再生中に2つの録画予約がスタートしても動作に支障はない。BD再生や2つの長時間録画を気兼ねなく使えるのは、あまり目立たないが重要な部分だろう。

 こうしたマルチタスク性は、実はネットワーク機能でも発揮されている。2番組同時にAVC録画を行いながら、「ホームネットワーク」(DLNAサーバ)を用いてほかの部屋に番組再生用のストリームを送出できるのだ。これができるのは、現時点でシャープの新しいAQUOSブルーレイだけである。

もう1つの“レコーダー初” 無線LANアダプター内蔵

photo

 「BD-HDW700」のリアパネルには、従来機にはなかった黒い突起がある。これは、レコーダーとしては初となる内蔵無線LANアダプターのアンテナ部だ。

 無線LANの標準規格「IEEE 802.11n(a/b/g)」に対応。家庭内に無線ルーターがあれば、AQUOSブルーレイが搭載している「アクトビラ ビデオ・フル」や「ホームネットワーク」(DLNA機能)といったネットワーク機能をワイヤレスで利用できる。なお、同機能は、秋頃をメドに提供されるソフトウェアアップデートによって利用可能になる予定だ。


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提供:シャープ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2010年9月19日