JVCケンウッドが11月に発売するインナーイヤーヘッドホン「HA-FXZ200」と「HA-FXZ100」は、これまでの常識を覆すユニークな方法論を用い、従来のカナル型にはない豊かな低音域とレンジ感あふれるサウンドを実現した。JVCの開発陣に詳しい話を聞いてみよう。
女性ジャズ・ボーカルの大好きなオーディオ・マニアが作ったら、こうなった……。JVCがリリースするインナーイヤーヘッドホン「HA-FXZ200」と「HA-FXZ100」は、これまでの常識を覆すユニークな方法論を用いることで、従来のカナル型にはない豊かな低音域とレンジ感あふれるサウンドを再現する注目モデルだ。
今や都会人にとってヘッドホンは半ば必需品。通勤や通学での活躍というか、活用には目を見張るものがある。車社会の地方都市ではそれほどお目にかからない光景が、都市部では当たり前になった。そういえば、人口700万人の香港の地下鉄でも結構そんな姿を見かけたなぁ。iPodやiPhoneの普及で誰でも簡単に1000曲単位の楽曲を持ち運べるようになり、当然その楽しみ方というか運用の仕方もさまざまである。こだわり派もいれば、イージー派もいる。
携帯プレーヤーを購入すればヘッドホンはたいがい付属品として付いてくる。それでことが足りる人は、ここから先は読んでもあまり面白くないかもしれないが、そうでない人にはぜひとも一読してほしい。
まぁ、あまり大きな声では言えないけど、ハードウェアの付属品はその製品の最低限の性能を保証するもので、最大限のパフォーマンスを引き出してくれるものではない。携帯プレーヤーの場合、ヘッドホンがそうである。メーカーは本体にお金をかけても、付属品となるヘッドホンにまでは手が回らないからである。
だから少しでもいい音で音楽を楽しみたいと思ったら、ヘッドホンは別にあつらえなくてはならない。ヘッドホンをおろそかにすると、せっかくの楽しみも半減する。お気に入りの音楽をいい音で聴く、これは大人の身だしなみなのである。
話をJVCのヘッドホンに戻そう。新製品のHA-FXZ200とFXZ100は、この道のエキスパートである、おじさんエンジニアの下で開発が始まった。彼の名前は三浦。商品設計部のシニアエンジニアリング・スペシャリストである。少し長ったらしいので、ぼくは彼をヘッドホンのディレクターと呼んでいる。
そして「LIVE BEAT SYSTEM」と銘打ったHA-FXZ200とFXZ100には、彼のアイデアがフルに注ぎ込まれている。それは何かというと、低音域の再現能力を高めるための方法論だ。ヘッドホンはスピーカーと同じく電気信号を音響信号に変換するための機械である。専門用語ではトランスデュサーというジャンルの製品だ。
またカナル型のヘッドホンを駆動方式で分類する場合、ダイナミック型かアーマチュア型に大別できる。中にはハイブリッド型もあるが、いずれかの方式を組み合わせたものだ。それぞれに特徴があるが、ダイナミック型で充実した低音域を再現しようとすると、使うユニットの口径が大きくなる。ヘッドホンの振動板をスピーカーに見立てれば簡単に分かると思うが、小さなスピーカーで豊かな低音域を再生することは大変難しいのだ。
それじゃあ大きくすればいいじゃないか、ということになるが、カナル型という限定されたスペースに大きいドライバーユニットを組み込むには自ずと制約があるし、身につけるものだから重量制限も必要だ。そしてここが一番の肝心なところなのだが、ユニットの口径が大きくなると、今度は逆に高音域の再現性がスポイルされてしまうのである。
あちらを立てればこちらが立たず、そこで三浦は、スピーカーシステムでよく使われる、ケルトン方式の応用を発想したのだ。しかもだ、このユニットからは低音域だけを抜き出し、あとの帯域は捨てるという、とんでもないアイデアを盛り込んだ。潔いというか大胆というか、この話を聞いた時は本当に驚いた。と同時にもったいないなとも思ったけど、それだと三浦の理想に近づかない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:株式会社JVCケンウッド
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia LifeStyle 編集部/掲載内容有効期限:2012年12月19日