扇風機のカタチを変えた革新技術「エアマルチプライアーテクノロジー」テクノロジー解説 <2>(2/2 ページ)

» 2014年07月07日 10時00分 公開
[滝田勝紀,PR/ITmedia]
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「AM01」から「AM06」への進化

 この空気の流路などについては、よりエネルギー効率を高めると同時に、騒音を減らすために、随所にさまざまな工夫をこらしている。それらを最初のモデル「AM01」と最新モデル「AM06」を比較することで確認していこう。

 まずミックスフローインペラーのブレード形状。「AM01」のブレードは1つのブレードに3つずつ、小さな穴が開けられている。これによりブレード前後の空気圧の差をなくすと同時に、空気の摩擦音の周波数帯をばらけさせ、音を相殺して騒音を軽減していたのだ。

モーターの下にあるグレーの部分がミックスフローインペラー。左の「AM01」は羽根の部分に小さな穴が開いているが、右の「AM06」では鳥の羽のような形状に変わった

 一方、AM06のブレードには鳥の羽根のようなV字の切り込みが入っている。これによりブレードから発せられる音はシングルトーン(単一周波数帯)となり、さらにそれをヘルムホルツ空洞で一気に軽減するという仕組みを採用した。鳥の羽根の形状を真似たのは、風をきっても音が出にくい形状だからだ。鳥は羽音が大きいと天敵などに狙われてしまうため、進化の過程で羽根の音を自然と軽減しているが、そんな自然界から学んだテクノロジーも設計に応用している。また、製造工程自体も3つの穴をあけるより、V字の切り込みを入れるほうがシンプルというメリットもあった。

 また、モーターやミックスフローインペラーを支えるパーツにも秘密があった。モーターやインペラーの振動が外装の頑丈なABS素材に伝わらないよう、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)というスポンジのような素材を挟むことで、振動や音を遮断したわけだ。

白く見える部分がEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)

 空気の流路やモーターから発生する振動をボディー全体に共鳴させないための工夫も施した。「AM01」では、空気の流路がループに対して直角になっていたため、そこに空気がぶつかり、エネルギーロスと摩擦音が発生してしまっていた。「AM06」では流路のその部分を滑らかに湾曲させることでスムーズに空気が流れるようにし、エネルギーロスと摩擦音を徹底的に減らすことに成功している。

モーターの上にある空間(空気の流路)が右の「AM06」では広がり、なだらかになっていることが分かる

カットモデルを見るとループの上下で太さが異なることが分かる

 一見シンプルなループの部分も変化した。例えば「AM01」では、ループを均一な円形にしていたが、実は空気の流れは均一になっていなかった。これに対して「AM06」では、ループの下部は中の空間が広く、上に行くほど狭くなる形状として調節。流れる空気にかかる圧力を調整し、最適化した。同時に気流の乱れを抑えたため、スリットから出る空気の量も安定する効果がある。

 最後にブラシレスDCモーターだが、「AM01」に搭載されているものと比べ、実は「AM06」のモーターは出力の低いモデルが使われている。これは「AM01」に比べると、「AM06」のほうが流路がスムーズでエネルギー効率が高いため、低出力でもよりたくさんの空気を流すことができるからだ。例えばボディーが重いクルマには、大きなエンジンを載せないとスピードは出ないが、ボディーが軽量であれば、小さなエンジンでも十分スピードが出るのと同じ。また出力を下げることで、動作音の軽減や節電にも寄与している。


「AM06」にはリモコンが付属する。風量や首振りのオン/オフ、タイマー設定などが可能だ

 外観に大きな変化はないものの、「AM01」と「AM06」を比べると同じ技術でもかなり洗練されたことが分かるだろう。内部構造の1つ1つに目を配り、全体として高効率化と低騒音化、そして省エネも実現した「AM06」。さらにユーザーから要望が多かったリモコンやタイマー機能を追加するなど、日常の使い勝手も向上させている。なにより「ヘルムホルツ空洞」を採用することで騒音を75%も低減したことを忘れてはいけないが、そちらに関する詳しい解説は、別の機会に譲ることにしよう。

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提供:ダイソン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia LifeStyle 編集部/掲載内容有効期限:2014年7月20日

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