ダニが減らなくなった?――現代住宅に潜むアレルゲンの実態専門家が推奨する秋掃除とは(3/3 ページ)

» 2015年08月31日 10時00分 公開
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寝室

 1日の約3分の1を過ごす寝具は最も暴露リスクの高い場所。とくに寝具の枕に近い部分は寝ている間に汗をかき、皮膚のカケラやフケも落ちる。放置するとダニのほかにカビの胞子も増えてしまう。

 ふとんは天日に干したあと、「必ず“叩かず”にとり込み、強力な掃除機で吸い取るのがベスト」(川上氏)。叩くとアレルゲンを飛散させてしまうからだ。「問題は生きたダニよりも死んで粉々になった微粒子です。アレルゲンは細かい粒子。それをしっかりと吸引できる掃除機を使いましょう」

天日干ししたふとんは叩かずにとりこみ、掃除機をかけるのがベスト

 一方、ベッドの大きなマットレスを干すことは難しい。そこで1週間に1度は立てかけて湿気をとり、2週間に1回程度は上下裏表のローテーションとともに強力な掃除機で吸い取る。「マットレスをひっくり返し、それまで頭をのせていた部分を足のほうにもってきます。それで4面使えることになります」(川上氏)

ベッドのマットレスも1週間に1度は立てかけて湿気をとる

 寝室はベッドだけでなく、床や掃除のしにくいベッド下収納などにも注意したい。「今回の調査では、寝具と寝室の床に共通のアレルゲンが存在していました。“ベッドと床は連動している”と考えて対策をしてください。重要なのは掃除しやすい環境を作ること」

リビングルーム

 寝室の次に過ごす時間の長いリビングルームでは、掃除とともに日常的な換気が重要になる。ウォークインクローゼットなど掃除しずらい部分にも注意。寝室と同様、荷物を入れるときから“掃除しやすい配置”を意識するようにしたい。

 使用するエアコンは、結露やフィルターでのカビ増殖を防ぐ“自分でお掃除するタイプ”がオススメ。またカビなどの暴露リスクを軽減するには、「正しい機能性を持った空気清浄機」とサーキュレーターの併用が効果的だという。

 「例えば静電式だけの空気清浄機は空気中のホコリを吸着できる容量が限られ、それを超えるとゴミがスルーしてしまいます。HEPAフィルターなども搭載したタイプを選び、運転時には空気清浄機を部屋の中央、サーキュレーターを片側において空気を循環させるのが望ましいですね」(川上氏)

強力な扇風機でもサーキュレーターの代わりになる

玄関

 玄関はカビの侵入口となりやすい場所だ。「カビは土がルーツです。土が付着しやすい靴底に注意してください。例えば雨の日は、雨水と一緒に土が付いてきます。玄関には新聞紙を1枚置いておき、靴底をふいて捨てるようにしましょう」(川上氏)

 また意外と盲点なのはペットの散歩。川上氏によると、室内犬を飼っている家庭はアレルギー性のカビが多い傾向にあるという。「散歩から帰ったとき、多くの飼い主さんは足の裏を雑巾でふく程度です。しかし舗装された道路を歩いても土は必ず付いてきますし、犬は興味のあるところをかぎ回ったりと、人が思う以上に土埃を体につけています。毎回お風呂に入れるのは大変ですが、せめて犬の体をふき、足は肉球の間までキレイにしましょう」

書斎

 本棚にたまるホコリに耐乾性のカビが潜んでいることも多い。また古い本に見られる茶色い染みはカビで、それを食べるチャタテムシ(Book lice 、ホンジラミ)もアレルゲンであることが最近の研究で分かった。つまり掃除していない書斎は「複数のアレルゲンに暴露される可能性が高い部屋」(川上氏)といえる。

ホコリなどは掃除機で取り除く

 本棚に積もったホコリなどは掃除機できれいにする。本は風通しのよい場所でカビ対策をしたい。

浴室、キッチンなど水回り

浴室のクロカビ。こうなる前に掃除をしよう

 「水回りは、人の肌に接したり、口に入れるものを扱ったりする場所」(川上氏)。それだけに日常的な対策が必要となるが、基本はやはり掃除と換気。クロカビなど目に見えるものは塩素系殺菌剤(カビ取り剤)を使って殺菌してから、風通しを良くしておこう。

川上 裕司氏プロフィール

農学博士。エフシージー総合研究所 暮らしの科学部 部長。専門は環境生物学、昆虫病理学。生活環境に関わる有害生物(真菌、ダニ、昆虫)をテーマに研究活動を行う傍ら、新聞・雑誌への生活衛生学情報の執筆、科学番組の制作協力やコメンテーターとしても活躍中。著書に「博物館・美術館の生物学ーカビ、害虫対策のためのIPMの実践」など。


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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia LifeStyle 編集部/掲載内容有効期限:2015年9月13日