「3倍速」の液晶、有機ELの生産性を上げるインクジェット:Display 2007
2倍速が液晶テレビの今年のトレンドかと思えば、既にパネルベルでは3倍速を実現する部材がスタンバイ。有機ELの生産性を大幅に上げる可能性を秘めた手法も紹介。
IPSアルファ、倍速を超える「3倍速」液晶
日立製作所と日立ディスプレイズ、東芝、松下電器産業の4社が液晶パネル製造及び販売の合弁会社として立ち上げたIPSアルファテクノロジ。液晶テレビの製品展開は行っていないために一般ユーザーからはなじみの薄い企業かも知れないが、日立・東芝・松下の3社へ「IPSαパネル」を提供しており、そのクオリティには定評のあるところだ。
そのIPSアルファテクノロジが展示していたのが、180Hz駆動に対応することでより動画応答性を高めたパネル。通常製品(60Hz駆動)の応答時間が16ミリ秒であるのに対して、180Hzパネルでは6.4ミリ秒まで高速化されており、CRTに近い高速な応答性能を手にしている。
これは90Hzの高速パネル(応答速度11.1ミリ秒)へ、フレームごとに黒を挟み込むデータ挿入技術「フレシキブルBI」(Black Data Insertion)を組み合わせることで実現した。技術的には完成しており、テレビメーカーから要望があれば生産するという。
有機ELの生産性を上げるインクジェット
東芝松下ディスプレイテクノロジーのブースでは、やはり本展示会直前に発表された21型の低温ポリシリコン有機ELディスプレイが注目を集めている。
展示品の対角は52.8センチで、解像度は1280×768ピクセル。1678万色表示に対応する。サイズや解像度だけを取りあげればソニーの有機ELディスプレイに見劣りしてしまうかも知れないが、注目すべきはその製造手法だ。
高分子型の発光材料をインクジェット方式で基板に塗布する手法が採用されており、生産性の向上が期待できる。この手法ならば液晶の製造インフラを転用することも可能となるため、画面の大型化も見込める。ただし、高分子型発光材料の開発が予定より遅れたほか、材料自身のコストにもまだ問題が残るという。
「有機ELディスプレイの大画面化を容易にする技術だが、テレビなどといった具体的な用途を考えることのできるレベルには達していない。この製造手法による歩留まりは心配していないが、トータルとしてのコストにはまだ改善の余地がある」(同社)
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