プレミアムな映像エンジンの“3つのコダワリ”――ビクターフルハイビジョン倍速液晶テレビ“EXE”「LH905」シリーズ:麻倉怜士氏開発者インタビュー(3/3 ページ)
ビクターのフルハイビジョン倍速液晶テレビ“EXE”「LH905」シリーズが登場した。次世代大画面エンジン「GENESSA PREMIUM(ジェネッサ プレミアム)」に搭載された新しい“3つのコダワリ”について、オーディオビジュアル評論家の麻倉怜士氏が開発者に聞いた。
ディレクターズ・インテンションを色でこだわった「Real Color Creation」
麻倉: さて3つ目のコダワリ、着目した物体の色再現性を高めるという新技術「Real Color Creation」ですが、記憶色を鮮やかに再現する「カラークリエーション」という技術は以前からもありましたよね?
華岡: 従来のカラークリエーションも、あるパラメータによる関数式を使って色を再現していたのですが、パラメータが固定でした。そのパラメータをシーンごとに変えていこうというのが今回の「Real Color Creation」です。ひとつの画面の中にはたくさんの色がありますが、注目される色を見つけ、その近傍の色数を増やし、鮮やかさを増すことで立体感を出そうとしました。
「Real Color Creation」
“着目した物体の色彩に対する視覚感度が高まる”という人間の目の特性をアルゴリズム化した高画質化技術。入力映像1枚1枚の色分布をリアルタイムに分析して映像処理することにより“人間が対象物に注目した時に見えてくる細かな色彩の違いや緻密なディティール”をより忠実に再現できる。
麻倉: 今までは全体の色を見ていたわけですよね?
華岡: そうですね。例えば、緑の葉ひとつの描写にしても、ズームアップしていく時の主役は“葉の緑”であり、その葉の中にある微妙なグラデーションに気づいてもらいたいというのが製作者側の狙いだと思います。緑色の中でも細かな色彩の違いを表現することで、ディレクターズ・インテンション――つまり製作者の意図が反映された映像に近づけるのではないでしょうか。
麻倉: 華岡さんは「スタンダード」と「ダイナミック」の画づくりを担当したということですが、女性の担当者として画づくりでなにか気をつけたことはありますか?
華岡: 私も肌色にはこだわりました。肌色づくりで参考にしたのは、化粧品のパンフレットです。女性の人はこういうパンフレットを見て「どういう風に肌を作ろうか」と考えます。例えば若く見せたい化粧では「ムラがあったらダメ」で「明るく」「くすみをなくして」「なめらかに」が基本です。テレビの画づくりでは、肌のくすみが「ノイズ」で、なめらかさが「階調」なのです。テレビに映る女優さんは流行のメイクをしています。そこで、パンフレットから流行のメイクの傾向を調べ、画づくりでも「もう少し透明感が欲しい」や「ちょっとテカり過ぎだからおかしいのでは」といった意見を積極的に提案しました。
豊嶋: 我々が今まで求めていたのは「見たい肌色」だったのですが、彼女(華岡さん)は「見せたい肌色」だったのです。
麻倉: なるほど、男性は「見たい」だけですが、女性は「見せたい」なんですね。この手法は今までなかったのでは。まさに女性ならではの視点ですね。
麻倉氏 〜総論〜
私は、ビクターの画づくりというのをブラウン管時代からみてきているが、他社とは一味違う、独自の切り口があると感じていた。かつてブラウン管カラーテレビの黎明期には、“純白カラー”というネーミングでホワイトバランスをしっかり確保した肌色のキレイな画づくりをセールスポイントにしており、“ブラウン管における高画質”を追求するための技術開発に余念がなかった。ビクターは、ブラウン管でありながら“コントラストと解像感”をしっかりと表現していたのだ。その姿勢は、薄型テレビ時代になっても変わらない。
ひとつの目標があり、それに向けさまざまな技術を結集する。デバイスはたとえ他社製であっても、それを使いこなす技術に長けていけることが、ビクターのテレビづくりの真骨頂だ。
今回の開発もそんな典型だ。従来以上に黒側の階調再現性に力をいれたのはもちろんのこと、中間部、白側でも新しい表現が堪能できた。それはより階調が緻密になり、肌色は官能的ですらあった。「LH905」はビクター的な画づくりに新しい価値を加えた。
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提供:日本ビクター株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2008年3月20日
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