個性派コンパクトデジカメのススメ:バイヤーズガイド(2/2 ページ)
デジタル一眼もすっかり定着したが、“デジカメならでは”を求めるならば個性派コンパクトデジカメも選択肢に含めたい。そんなデジカメをご紹介。
鳥の羽ばたきすらとらえる超高速連写
連写速度の速さといえば一眼レフの独壇場だったが、その機能に主眼を置いて強化することで驚異的な性能を持つのがカシオ計算機の「EX-FH20」だ。有効910万画素 1/2.3型のCMOSセンサーを搭載し、3072×2304ピクセル時(約7メガ相当)で最大40枚/秒の高速連写が行える。連写性能だけでいえば、最高60枚/秒の高速連写が行える兄弟モデル「EX-F1」の方が高いが、、EX-FH20はボディの小型化を進めており、一般的な高倍率ズーム機としても十分に利用できる。
タフネスさで勝負、「たたく」デジカメも
オリンパスの「μ SW」シリーズといえば水中での利用も可能なタフネスデジカメとして定着しているが、「μ1050SW」は“たたく”という操作方法を取り入れたユニークな製品。
IPX8/IPX6相当の防水/防じん性能を有しており3メートルまでの水中でそのまま利用できるほか、1.5メートルからの落下テストにもクリアしており、アウトドアでも破損の心配なく扱える。また、加速度センサーを搭載しており、本体を“たたく”ことでシャッターを切ったり、設定を変えたり、再生モードに移行したりできる。本製品はマイナス10度でも動作可能なので、スキー場など分厚い手袋をしている場合でも便利に使えそうだ。
タフネス性能ではペンタックスの「Optio W60」も要チェックの1台。μ1050SWより深い、水深4メートル/連続2時間の水中撮影が可能(耐寒性能は同様にマイナス10度まで)。“たたく”操作インタフェースは備えていないが、35ミリ換算28〜140ミリの光学5倍ズームレンズを搭載する。μ1050SWは同38〜114ミリの光学3倍ズームレンズなので、どちらを選ぶかは利用シーンに応じて選択したい。
人肌を美しく“美人”デジカメ
これぞデジタルならでは、という機能を搭載したのがカシオ計算機の「EXILIM ZOOM EX-Z300」。画像処理によって、人肌をあたかもメイクし、ライティングまでしたかのような美しさで映し出す。
顔検出機能で検出した被写体の顔に対し、ダイナミックレンジ拡張や暗部補正、ソフトフォーカス、エッジのアンシャープネス処理などを複合的に施すことで、肌のシミやキズなどを目立たぬようにしつつ、目や口元などのシャープネスは保つことで、結果として、スナップ写真でも「写真館で撮影したような」(同社)仕上がりにしてくれる。効果はリアルタイムに確認しつつ、12段階で調整できる(レビュー記事参照)。
マニュアル撮影機能はほぼ備えないフルオート指向の機種だが、笑顔認識やブレの少ない瞬間を感知してシャッターを切るオートシャッター、1回のシャッターで連写を行い1枚に合成するマルチモーション撮影機能などを備えており、実用性も十分に備えた1台だ。
「場所」という新たな情報を付け加える
マニュアル指向モデルのなかでも紹介したニコン「COOLPIX P6000」にはもうひとつ、紹介しておきたい特徴がある。それが人工衛星からの電波をもとに位置を測定するGPS機能の内蔵だ。本製品にはGPS機能が搭載されており、撮影した画像データに位置情報をプラスして保存することができる。
GPSは複数衛星から受信する電波を測定に利用するため、開けた場所でないと位置の特定は難しい。GPSといえば携帯電話への搭載が広く普及しているが、携帯電話の場合は基地局からの情報も位置特定に利用するが、本製品は衛星からの電波のみなので携帯GPSほど迅速に位置は特定してくれない。
また、電源オフ時の測定インターバルが長め(90分)のため、位置情報取得を意識しないで使うと写真と撮影場所が思わぬズレをおこすこともあるが、「GPS内蔵デジカメ」は非常に貴重な存在。撮影した画像を地図で整理するという整理方法にグッとくるならぜひ。
あえて「小型軽量コンパクト。シャッター1発で簡単撮影」だけではないデジカメを選んで紹介してきたが、最近では動画関連機能の強化された機種も目立つ。YouTubeに最適な撮影モードを備えたカシオ計算機のEXILIMシリーズや、12月発売予定のキヤノン「PowerShot SX1 IS」などが注目株だ。PowerShot SX1 ISはPowerShot SX10 ISと同様の光学20倍ズームレンズを備えつつも、フルハイビジョン(1920×1080ピクセル)の動画撮影機能を備え、「超望遠+ハイビジョン動画撮影」というほかにはない個性を備えた1台となっている。
そのほか、具体的な発売時期は未定だが、これぞデジタルという機能を備えたデジカメの登場も予定されている。それが富士フイルムの「3Dデジタルカメラ」。レンズと撮像素子を2つずつ搭載し、裸眼立体視できる画像を撮影するというユニークな製品だ。銀塩カメラのデジタル化という視点からスタートしたデジタルカメラだが、こうした製品をみる限り、単なるデジタル化にとどまらない進化・発展はまだまだ続いていきそうだ。
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