“人間の目”がヒントの新CCD、富士フイルム「FinePix F200EXR」
富士フイルムが「人間の目をヒント」に開発した、新型CCD搭載のデジカメ「FinePix F200EXR」を発売。シーンに応じてCCDの撮像方式も変化する。
富士フイルムは2月4日、新開発の撮像素子「スーパーCCDハニカムEXR」を搭載したコンパクトデジタルカメラ「FinePix F200EXR」を2月21日より販売開始すると発表した。価格はオープンで、実売想定価格は4万3000円前後。
スーパーCCDハニカムEXRは、「明るさによって解像力や感度を変化させられる人間の目のメカニズムに着目」(同社)して作られた新型の撮像素子。2008年9月に開発発表が行われており、2009年早期の製品搭載がアナウンスされていた。
新開発の撮像素子は、カラーフィルター上に配置される画素を、斜め方向に同色の画素を2つ隣り合わせに配置し、その2画素を1単位として信号処理することでノイズの少ない高感度撮影を可能としている。また、画素混合を行う際にも同色の画素をそのまま組み合わせるために、偽色の発生が抑制され、クリアな画像を作り出す。この低ノイズ/高感度撮影技術を同社では「Pixel Fusion Technology」と呼称している。
また、1回の撮影でも露光時間を電気的に調整、受光量の異なる低感度と高感度の2つの画像データを作り出し、それらを合成することで、結果として1枚の写真においてダイナミックレンジを拡大させる「Dual Capture Technology」も実装する。そのほか、CCDに搭載する画素を画素混合なしに利用し、解像感の高い画像を作り出す「Fine Capture Technology」も備える。
搭載製品において、この「Pixel Fusion Technology」と「Dual Capture Technology」、「Fine Capture Technology」は同一撮像素子上の電荷処理の違いによる、撮像方式の違いとして利用される。その特徴からF200 EXRでは、Pixel Fusion Technologyは「高感度・低ノイズ優先」、Dual Capture Technologyは「ダイナミックレンジ優先」、Fine Capture Technologyは「高解像度優先」の名称で用意されている。
これらのモードについて、F200 EXRではシーン認識技術と組み合わせての実装が行われている。この「EXR AUTO」モードでは、まず、カメラが被写体と撮影状況を認識し「人物」「風景」「夜景」「マクロ」「逆光&人物」「夜景&人物」のシーンモードを選択しAE/AFやISO感度などを自動設定する。そののちに、CCDの撮像方式も「高感度・低ノイズ優先」「ダイナミックレンジ優先」「高解像度優先」のいずれかから自動選択され、撮影が行われる。
利用者が撮像方式を任意に選択する「EXR 優先モード」も用意されており、こちらでダイナミックレンジ優先を選択した際には、ダイナミックレンジを800%まで拡大することができる。なお、F200 EXRの撮像素数は有効1200万画素だが、「高解像度優先」以外のCCD撮像方式選択時には画素混合が行われるため、出力される画像ファイルは600万画素相当となる。
そのほか、暗所でのマクロ撮影時にも白トビを抑制する発光制御技術を採用した「スーパーiフラッシュ」や、「PROVIA」や「Velvia」などのフィルム名を冠し、フィルムを選ぶような感覚で色彩や階調表現を選択できる「フィルムシミュレーションモード」などの機能も備える。
レンズは35ミリ換算28〜140ミリのフジノン光学5倍ズームレンズで、CCDシフト式手ブレ補正機能も搭載。背面液晶のサイズは3型(23万画素)。48Mバイトの内蔵メモリを備えるほか、SD/xD-ピクチャーカード対応のデュアルスロットを搭載する。本体サイズは97.7(幅)×58.9(高さ)×23.4(奥行き)ミリ、175グラム(本体のみ)。
関連記事
- 「人の目、そのまま」、富士フイルムが「スーパーCCDハニカム EXR」開発
富士フイルムが“人間の目に近づいた”、新型撮像素子「スーパーCCDハニカム EXR」を開発。2009年早期の製品搭載を目指す。 - 顔認識搭載の厚さ19ミリデジカメ「FinePix J15fd」
富士フイルムが、エントリーモデル“Jシリーズ”のコンパクトデジカメ新製品「FinePix J15fd」を発売。最薄部19ミリのボディに8メガCCDと光学3倍ズームレンズ、顔検出機能を搭載する。 - レース&グラデの薄型デジカメ「FinePix Z250fd」
富士フイルムが屈折光学系を備えたコンパクトデジカメ「FinePix Z250fd」を発売。シーン自動判別機能を搭載したほか、鮮やかなレース&グラデーションのカラーリングも施した。 - 富士フイルム、裸眼立体視できる「3Dデジタルカメラ」を製品化
富士フイルムが裸眼で立体映像を楽しめる「3Dデジタルカメラ」を製品化する。 - 広角28ミリからの光学5倍ズーム、「FinePix J150w」
富士写真フイルムは、広角28ミリから望遠140ミリまでをカバーする光学5倍ズームレンズを搭載したコンパクトデジタルカメラ「FinePix J150w」を発売する。 - 「Wナビ」のカメラおまかせコンパクト、「FinePix F60fd」
富士フイルムが4つの撮影モードをカメラが自動判別する「シーンぴったりナビ」と「顔キレイナビ」、2つのナビを搭載する「FinePix F60fd」を発売。 - レビュー:みんなが仲良くなれるスナップカメラ――富士フイルム「FinePix Z200fd」
「FinePix Z200fd」の注目は、フレーム内の顔が近づくと自動でシャッターが切れる「恋するタイマー」。友達や恋人、家族とスナップ写真をたくさん撮りたくなる機能だ。 - あのデジカメ、ココが気になる:デメリットはあるか?――FinePix F100fd「ワイドダイナミックレンジ」(後編)
デジカメのダイナミックレンジ拡大は白トビ・黒ツブレを抑制してくれる便利な機能だが、デメリットはないのだろうか? - あのデジカメ、ココが気になる:「目で見たままをそのままに」――FinePix F100fd「ワイドダイナミックレンジ」(中編)
富士フイルム「FinePix F100fd」には、従来比400%をうたうダイナミックレンジ拡大が実装されている。その詳細を富士フイルムに聞いた。 - 「恋するタイマー」搭載のスリムコンパクト「FinePix Z200fd」
世界最薄最軽量の5倍ズーム&手ブレ補正コンパクトをうたって登場したFinePix Z100fdの後継機種が登場。顔認識機能を応用した撮影機能が充実した。 - デジモノ家電を読み解くキーワード:「ダイナミックレンジ拡大」――白トビ、黒ツブレにさようなら
サラサラなはずの髪がべったり、子供の柔肌がのっぺり……デジタルカメラで起こりがちなこの問題は、「ダイナミックレンジ」の拡大で防げることも多い。今回は、ダイナミックレンジの改善がどのような効果をもたらすかについて、説明してみよう。 - レビュー:ノイズ知らずの多機能コンパクト――富士フイルム「FinePix F100fd」
富士フイルム「FinePix F100fd」のウリは、なんといっても従来比約4倍相当の「ワイドダイナミックレンジ」機能。FinePixシリーズ得意の高感度機能とあいまって、ノイズ知らずの優れた画質を得られる。 - レビュー:広ダイナミックレンジ機「FinePix S100FS」の実力を検証
光学14.3倍ズームを備えたレンズ一体型の多機能デジカメ、富士フイルム「FinePix S100FS」を使ってみた。従来比4倍のワイドなダイナミックレンジとフィルムの色調をシミュレートしたカラーモードに注目だ。 - あのデジカメ、ココが気になる:従来比400%――FinePix F100fd「ワイドダイナミックレンジ」(前編)
デジカメの白トビ、黒ツブレを解消する手段して注目されているダイナミックレンジ拡大。従来比400%をうたうFinePix F100fdはどれほど効果を発揮してくれるか。 - 富士フイルム、動画専用ボタンを備えた「FinePix Z20fd」
富士フイルムが動画専用撮影ボタン付きのコンパクトデジタルカメラ「FinePix Z20fd」を発売する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.