デジカメの画素数競争は終わった?――キヤノン「PowerShot G11」開発者に聞く:永山昌克インタビュー連載(3/3 ページ)
キヤノンのコンパクトデジカメの最上位機「PowerShot G11」は、あえて従来製品よりも画素数を落とし、低ノイズの高感度画質「すっきりクリアフォト」を実現した。その狙いを開発者に聞いてみよう。
高画質の写真を身近にしてくれるカメラ
――PowerShot G11と同じく、1/1.7型1000万画素CCDを搭載したPowerShot S90を同時期に発売しました。豊富なマニュアル機能など似ている面もありますが、両者の位置付けの違いは?
中村氏: 従来のGシリーズのお客様からは、ボディをもっと小さくして欲しいという意見があり、そのニーズに応える製品がPowerShot S90です。と同時にS90には、IXY DIGITALなど薄型軽量エントリー機のユーザーが、次に購入されるステップアップ機種としての役割りもあります。またボディサイズだけでなく、システムとしての拡張性にもS90とG11とでは大きな違いがあります。PowerShot G11にはホットシューがあり、外部ストロボなど多彩なアクセサリを利用できます。
操作性について、PowerShot S90にもダイヤルはありますが、PowerShot G11では、撮影モードとISO感度の2段ダイヤルや、露出補正ダイヤルなど、多機能をより直感的にダイレクト操作できるように配慮しています。さらに、伝統的なカメラの撮影スタイルができるよう、光学ビューファインダーを搭載し続けることも、Gシリーズとしてのこだわりです。
――2004年発売のPowerShot G6以来となる、バリアングル液晶が復活しました。その狙いは?
久保氏: ひとことで言うと、バリアングル液晶はユーザーからの要望が非常に大きかったのです。ローポジションやハイポジションなど撮影のスタイルの自由度を大きく広げられます。ただ、単純にバリアングルを復活させたわけではなく、ボディのサイズ感を重視しつつ、従来よりも薄型のバリアングル液晶にしてボディになじむデザインにしています。また従来機 G6のバリアングル液晶よりも大画面化しています。
――前モデルPowerShot G10に比較して、レンズや動画機能に大きな進化がなかったのは少々もの足りなく思います。CCDとエンジン、バリアングル液晶以外の面ではどんな改良がありますか?
中村氏: Gシリーズは、まずは静止画をじっくりと撮っていただくカメラという位置づけのため、動画については今後の検討課題とさせて下さい。そのほかの改良点としては、ホワイトバランスの設定画面でDISPボタンを押すことで、より詳細なホワイトバランス調整が可能になったことや、ストロボの同調速度を1/500秒から1/2000秒に高めたこと、ストロボ撮影時に白とびを抑える工夫を入れたことなど、実際にたくさん撮影している人にこそ伝わる改善を各所に盛り込んでいます。
久保氏: ダイヤルやボタンの形状を見直し、全体のデザイン性や操作感もブラッシュアップしています。バリアングル液晶の採用によって背面のコントローラーホイールはやや小さくなりましたが、それでも操作性は損なわれていないはずです。またラバーグリップは、一眼レフのタイプと同じやらかい素材に変更して、よりグリップ感を高めています。
――G11をどんなユーザーに使って欲しいですか?
中村氏: デジカメが本格的に普及し、いい写真を撮りたいと考える人たちの裾野は確実に広がっていると思います。また、お客様の画質を見る目も肥えてきたように感じます。そんな中で、PowerShot G11は、より高画質の写真を身近にしてくれるカメラです。このサイズ感に、これだけの画質とこれだけの機能、このズームレンジをまとめた、キヤノンとしては渾身の力作です。よりよい写真を手軽に楽しめるツールとして、ぜひ多くの人に使っていただきたいと思います。
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