アナログ停波まで1年余、薄型テレビ天王山のトレンドを予測する:本田雅一のTV Style
来年のアナログ停波を控え、今年は最後の追い込み。薄型テレビ商戦の天王山ともいうべき、重要な年である。例年と異なり、春に3Dテレビを含むハイエンド製品が発表されているが、各メーカーは年末にもう1つの山を作らなければならない。
春の新製品、すなわち今年夏の商戦を戦うテレビが出そろってきた。今週は、さらにソニーが新製品の発表を予定しているようだ。噂によれば3Dテレビらしい……と、そちらはあくまで噂だが、何日か後には分かることなので、ひとまずはそれを待つのいいだろう。
ソニーは、以前から「3Dコンテンツがそろい始める時期を狙って製品を発売する」としていたのだが、3D対応のBlu-ray Discの登場も少し先になりそうな中、何をし始めようというのだろう。あるいは、「プレイステーション3」の3D対応などとセットでの発表になるのだろうか?
と、自分から“待つのがいい”といいつつ、話が脱線してしまった。
さて来年のアナログ停波を控え、今年は最後の追い込み。テレビの買い替え商戦が年末を通り越して来年春まで続く、薄型テレビ商戦の天王山ともいうべき、重要な年である。
もっとも、例年なら年末商戦向けに投入される製品に、画質や機能を重視した高性能モデルが多い一方、春に投入される製品は新入学・就職・転勤など引っ越し需要に伴うテレビの買い替え需要が伸びる時期だ。どちらかといえば、コストパフォーマンス重視のバリューモデルが中心だった。
そうした中、パナソニックが(おそらくソニーも)春にハイエンド製品を投入したのは、どちらかというとイレギュラーなこと。“3Dテレビ一番乗り”を果たすため、ルールを変えて春モデルにその年の最上位モデルを投入したわけだ(ただし、すべてのインチサイズが発表されたわけではない)。しかし、アナログ停波が迫る今年の後半には、もう1つの山を作らなければならない。どこのメーカーもそう考えている。
LEDバックライト+部分制御がミドルレンジまで
では、今年後半に向け、薄型テレビのトレンドはどのようなものになっていくのだろうか。液晶パネルの開発状況から逆算して考えると、“超薄型は当たり前”、“超薄型だけど高画質”、“ネットワークサービスの活用”の3本立てになりそうだ(3Dはここではあえて外している)。
まず、LEDエッジライトの製品が世界的に大人気になったことで、エッジライトモデルがバリュープラスのゾーンにまで入ってくる。超薄型テレビは、実のところ日本市場での出足は期待したほど良くなかった。薄ければ薄い方がカッコイイものの、壁掛けにでもしない限り、3センチが1センチになっても設置状況に大きな変化は生まれない。しかし、買いやすい価格にまでエッジライトの超薄型モデルが投入されるようになれば、自然に市場も変化してくるはずだ。また、エッジライトをL字型に配置してローカルディミング(バックライトの部分制御)を行う製品も、ミドルクラスには投入されるようになる。
ハイエンドは薄さと高画質の両立
では、上位モデルはどうなるか? というと、昨年発売された東芝「CELL REGZA」ほどではないにしろ、ローカルディミングの分割エリア数をかなり増やしたパネルが登場するだろう。この分野で先行しているサムスン製のパネルはもちろん、LG製のIPSパネルでも、サムスン並みに細かいエリア制御を行える製品が提供されるようになる。
しかも、今年の上位モデル向けパネルは、コントラスト向上やローカルディミング分割数の増加に加え、エッジライト並みに薄型化を図ったものが投入される。これまでユーザーは、「超薄型のスタイリッシュモデルか」、それとも「ローカルディミングを生かした高画質モデルを選ぶか」で選択を迫られてきたが、今年はその両方を1台のテレビで求めることが可能になる。当然、今年の年末商戦に向けて、そうした新型パネルを使ったテレビが登場してくるはずだ。
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