容量倍増のBlu-ray Disc新規格「BDXL」:デジモノ家電を読み解くキーワード
Blu-ray Discの拡張仕様「BDXL」が正式公開され、対応ハードウェアとメディアが発表された。今回は、BDXLメディアの特長と、その用途について解説してみよう。
100Gバイト/3層と128Gバイト/4層の2タイプ
BDXLは、Blu-ray Disc Association(BDA)により承認されたBlu-ray Discの新規格。記録層として1〜2層を使用する最大50Gバイトの現行規格に対し、一度だけ書き込めるライトワンス型は100Gバイト/3層と128Gバイト/4層の2タイプ、書き替え可能なリライタブル型は100Gバイト/3層の1タイプが規定される。
BDXLディスクを再生/記録するには、専用ハードウェアが必要だ。ただしBDXLはBDの拡張規格であり、今後登場予定のBDXL対応機器では後方互換性が確保されるため、従来のBDレコーダーで録画されたディスクの再生はもちろん、記録層として1〜2層を使用する最大容量50Gバイトのディスクにも録画できる。
このBDXLに初めて対応した製品が、シャープのBDレコーダー「BD-HDW700」と「BD-HDW70」だ。両機はBlu-ray 3Dの再生も可能な”3D対応モデル”に位置付けられ、BDXLのサポートも3D番組の録画する用途を考慮したものと考えられる。例えば3D放送番組で使われるサイド・バイ・サイド方式は横方向の解像度が半分になっているため、画質劣化を伴う長時間モードではなく、TS記録(DRモード)で保存しておきたいところだ。
地デジ放送そのままを1枚のディスクに12時間
BDレコーダー2機種とあわせて発表されたシャープの「VR-100BR1」は、世界初となるライトワンス/100GバイトタイプのBDXLメディア(BD-R XL)だ。
最長録画時間は、地上デジタル放送を無圧縮で記録するDRモード(MPEG-2 TS/約17Mbps)のときで約12時間。1クール9〜11回が一般的な民放ドラマ番組の場合、3層/100GバイトのBD-R XL1枚にすべてが収まる計算となる。
従来のBD-R/REメディアは1層あたり25Gバイトだった経緯から、3層で75Gバイト、4層で100Gバイトというパターンでの容量増が予想されていたが、BDXLのメディアは1層あたり約33Gバイトとなっている。100Gバイト/3層と128Gバイト/4層では1層あたりの容量が異なるものの、BDAではBDXLメディアの層ごとにおける記録容量を公表していないため、現時点における詳細は不明だ。
BDXL対応メディアの価格だが、当初はかなり割高感がある。VR-100BR1の店頭予想価格は5000円前後、9月にイメーション(TDK Life on Recordブランド)から発売予定の「BRV100HCPWB1A」も同様で、1Gバイトあたりの単価は50円と、現行BD-R DL(2層/50Gバイト)の1Gバイトあたり20円以下という水準には及ばない。対応機種が増え、需要が拡大するまでは量産効果も期待できないことから、本格普及はしばらく先のことになりそうだ。
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