パイオニア初のネットワークオーディオプレーヤー「N-50」の実力を探る:野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review(2/2 ページ)
パイオニアの「N-50」は、NASやPCなど、DLNA1.5準拠の機器にライブラリーされている音楽ファイルを再生できるネットワークプレーヤー。また別体式DACとしての機能も併せ持つ多機能機である。
ノイズレベルが低いピュアなサウンド
まずはネットワークに接続したNAS(QNAPの『TS109』)の音源を再生したところ、ノイズレベルが極端に低く、とてつもなくピュアなサウンドを聴かせてくれた。また無音部分が限りなく静かなので、その分ダイナミックレンジが広がり、おかげで抑揚の強弱がとても幅広く感じる。その階調も細やかなため、いつも聴き慣れた演奏とは思えない、スケール感の大きい演奏が楽しめるのだ。
モーターなどの動作部品がない(振動や磁気による音質の劣化が極端に少ない)ことから、CDプレーヤーなどに対し音質的にはかなり有利といわれるネットワークオーディオプレーヤーだが、なかなかのレベルである。
次にUSB DACのサウンドも確認した。こちらはネットワーク再生に比べると多少SN感は劣るが、それでもN-50らしいピュアサウンドは充分に確保されており、キレのよいダイナミックサウンドは健在だ。両者の差は、楽曲の収納場所のクオリティーによるものと思われる。PCをオリオスペック「canarino1」など、音楽再生に特化した製品に変えると、両者の差はかなり縮まってくる可能性が高い。
「Hi-bit 32 Audio Processing」のオンオフは、好みで使えばよいレベル。音にすると柔らかで抑揚の細やかな表現になるが、オフにしたときのダイレクトかつピュアサウンドもいい。個人的には後者をメインに使いたいが、曲調や気分によってこまめに切り替えるのもよいかもしれない。
このように、N-50はその機能性以上に、音の良さが魅力となっている製品だ。あまりにあけすけなサウンドのため、人によっては「もうちょっと柔らかい音がほしい」と感じるかもしれないが、それはアンプやスピーカーで求めればよいことだ。「N-50」は、プレーヤーとしての基本に忠実な、素晴らしい製品といえる。ネットワークプレーヤーやAVアンプなど、ネットワーク再生機能を持つ製品を探している人には、第1候補に挙げてほしい秀作だ。
音質評価 | |
---|---|
解像度感 | (粗い−−−○−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−−−−○ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−−−−○フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−−−−○質感重視) |
関連キーワード
パイオニア | オーディオ | ネットワークプレーヤー | DAC(D/A Converter) | AirPlay | DLNA | iPhone | Androidアプリ | ぶらんにゅ〜AV Review | QNAP
関連記事
- ハイレゾ音源をビット拡張、パイオニアが初の単体ネットワークプレーヤーを発表
パイオニアが初の単体ネットワークオーディオプレーヤーを発表した。AirPlayやDLNAに対応。価格を抑えながらビット拡張などの機能も盛り込んだ意欲作だ。 - 脳汁どばどば──音楽“専用”PC「canarino1」をピュアオーディオ目線でチェックする
……はぁぁ。これがPCで聴くサウンドか。本体より大きい外付けの専用高品位電源を採用した音楽専用PC「canarino1」を、オーディオライターが、オーディオ目線でチェックする。 - パイオニア、さまざまなフォーマットに対応したBDプレーヤー「BDP-LX55」「BDP-440」
パイオニアは、AVCHDやSACD、DVDオーディオなどさまざまな映像フォーマットの再生に対応するBDプレーヤー「BDP-LX55」「BDP-440」を発表した。3D再生やジッターレス伝送「PQLS」機能を搭載。 - パイオニア、DTS Neo:X対応のAVアンプ上位モデル「SC-LX85/LX75」を発表
パイオニアは9月14日、AVアンプの新製品として「SC-LX85」および「SC-LX75」を発表した。AirPlayやDTS Neo:Xをサポート。また、32bit DACとビット拡張機能でハイレゾ音声をさらにブラッシュアップするという。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.