東芝「55X3」で見つけたBD「ウェスト・サイド物語」の4Kテイスト:山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(2/2 ページ)
“REGZA”のフラグシップモデル「55X3」は、家庭用として初めてQFHD(Quad Full High Definition)パネルを搭載した“4Kテレビ”だ。4K編集で注意深くマスタリングされた映画BD ROMを観ると、フルHDテレビとは明らかに違う映像を見せてくれる。
超高画質BDを生かし切る実力
この12月にフォックスから“製作50周年記念ブルーレイ・コレクターズBOX”として発売されたばかりのこのBD ROMは、オリジナルの65ミリネガフィルムからインターポジを焼き、4Kスキャンを行なってマスタリングされたもの。フィルムの傷や塵の除去と色補正(カラーコレクション)を時間をかけて行ない、目の覚めるような超高画質BDに仕上げられている。
この作品をDBR-M190と55X3のペアで観たわけだが、この両者をHDMI接続すると、55X3の映像メニューは自動的に「レグザコンビネーション高画質」モードに切り替わる。両者を組み合わせることでよりいっそうの高画質化が図れるモードである。
DBR-M190はレグザに搭載されている、「レグザエンジンCEVO」を搭載している。そこで、1080/24pの映画BD ROM再生時は、24p/秒の映像情報のままDBR-M190側で超解像処理を行ってHDMIで55X3に受け渡すという仕組みになる。他社製BDプレーヤー(レコーダー)を55X3につないだ場合は、55X3側で1080/24pを1080/60p信号に変換してから超解像処理を行うことになるので、24p/秒の映像情報のままDBR-M190側で超解像処理を行う「レグザコンビネーション高画質」モードのほうが精度の高いスケーリング処理が期待できるわけである。実際にDBR-M190と他社製BDレコーダーとの画質比較を55X3でやってみたが、予想以上の鮮鋭感の違いが出ておおいに驚かされた。自社製レコーダーとテレビとの連携による高画質化。これまでありそうでなかったこの切り口はじつに鮮やかで、強い感銘を受けた。
部屋の照明を落とし、ほぼ全暗環境で55X3の映像モードを『映画プロ』に設定し、いつもより画面に近づいてBD「ウェスト・サイド物語」を観た。画面との距離はほぼ2H(画面高の約2倍)。水平視野角が60度近い超近接視聴だが、4K表示ならではのディティール表現に優れた味わい深い映像が視野いっぱいに繰り広げられ、その迫力といったらない。
冒頭約15分、レナード・バーンスタインの躍動感にあふれたすばらしい音楽に乗せて、ほとんどセリフなしで繰り広げられるシャーク団(プエルトリコ系)とジェット団(イタリア系)のダンス。この2つの不良少年グループの反目を、流麗なカメラワークとリズミカルなカット割で見せるわけだが、近接視聴で観る55X3の表現力は抜群で間然することがない。テレビで映画を観ているという感覚を忘れてしまう臨場感だ。
赤いレンガのブロックや砂や石ころの地面、シャーク団を率いるベルナルド役のジョージ・チャキリスの浅黒い顔のアップなど、思わずハッと声を上げそうになるほどの尖鋭感に満ちあふれている。新たに加えられた「カラーテクスチャー復元超解像技術」がじつに効果的にはたらいていると実感した。
試みに55X3のフィルムモードを、オリジナルの24コマを等倍速表示する『フィルム』から補間画像を挟み込みながらフィルム特有のカタカタした動きを残した『クリアフィルム』に変更してみたが、この映像がまたじつに心地よい。不良少年たちのダンスがより流麗に描かれ、うっとりとその見事な動きに見惚れてしまったのだった。
QFHDパネルを採用し、卓越した超解像技術を用いていまだ観たことのない鮮烈な高精細映像をアピールする55X3。東芝REGZA の栄光の型番「X」を名乗るにふさわしい先進のハイクォリティーTVであることは間違いない。来年はもっと大画面でこの超高精細映像を観てみたいという気持が抑えられなくなった。
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