ソニーが“ハイレゾ”を全面プッシュ、「mora」は配信サービスを提供
ソニーは、同社のオーディオ製品事業において、CDよりも情報量の多い「ハイレゾリューション・オーディオ」を全面的に推進する。10月からはレーベルゲートがハイレゾ音源配信サービスを開始。
ソニーは9月26日、同社のオーディオ製品事業において、CDよりも情報量の多い「ハイレゾリューション・オーディオ」(いわゆるハイレゾ音源)を全面的に推進すると発表した。新たに“ES”型番を含むハイレゾ対応オーディオ機器6機種を発表(→関連記事)。また、10月からレーベルゲートがハイレゾ音源配信サービスを開始することも明らかにした。
発表会であいさつに立ったソニーの高木一郎氏(ホームエンタテインメント&サウンド事業本部副本部長)は、まず1万円以上のヘッドフォンで市場シェア1位を獲得した「MDR-1R」やポータブルヘッドフォンアンプ「PHA-2」など近年のPCオーディオ関連製品を紹介し、「ハイレゾ導入に向けた準備だった」と振り返った。「ハイレゾ音源は(人間の可聴域を超えるため)科学的には人間の耳には聞こえないが、体で感じることが重要だ。“聴く”から音楽を“感じる”楽しみを提供したい」。
同社の調査によると、「CDを超える音質で聴きたい」という人が全体の68%と“いい音”に対するニーズは高まっている。一方でFTTHなどネット接続環境の広帯域化、HDD/SSDの大容量化と普及が進み、「ワンランク上の選択肢を提供できる環境が整った」という。そうした中、ソニーでは、今回の新製品を含めてホームからポータブルに至る8カテゴリー18機種を商品化。2013年度下半期には、ハイレゾ関連製品でオーディオ機器売上の2割まで延ばす考えだ。また今後はすべてのカテゴリーに対応機器を拡大し、早期の30%超えを目指すという。
ただし、コンテンツ面はまだ充実しているとは言いがたい。このためソニーでは、ワーナー・ミュージック、ユニバーサル・ミュージック、そしてグループ会社のソニー・ミュージックと協力してハイレゾ音源の製作と供給を進める。さらにレーベルゲートが運営する「mora」に「mora WALLMAN公式ミュージックストア」を開設し、新型ウォークマンの発売に合わせてハイレゾ音源のダウンロードサービスを開始する。
FLACを使ったオープンな配信サイト、DRMなし
サイトのオープンは10月17日。ファイルフォーマットにはアルバムアートや各種メタデータを利用しやすいFLACを採用し、DRMはかけない。音源は44.1k〜192kHz/24bitとしているが、多くは96kHz/24bitだという。今後は圧縮を行わないFLACも採用する方針だ。
販売はアルバム単位で、中心価格帯は3000円前後。IDや決済手段(クレジットカードや電子マネー、キャリア決済など)などは従来のサービスと変わらない。ハイレゾ対応ウォークマン(F880、ZX1)からは直接購入やダウンロードが行えるほか、もちろんPC(Windows/Mac OS)でも利用できる。
配信タイトルは改めて発表する予定だが、約600タイトルからスタートする。ジャンルとしては1960〜1980年代の洋楽からジャズ、ロック、ポップスなど幅広くそろえる方針で、ソニー・ミュージックからは、いきものがかりやSCANDALといったメジャーアーティストの楽曲も登場する見込みだ。
レーベルゲートの佐藤亘宏社長は、「ハイレゾ音源は、AACの14倍、CDに対しても3倍の情報量がある。今後、ユーザーは高い表現力を持つハイレゾと高いコストパフォーマンスのAACを選択できる。音楽業界も創作活動の幅が広がるだろう」と期待を語った。
このほか、e-onkyo musicやOTOTOYといった既存ハイレゾ配信サイトと協力し、ハイレゾ配信の認知拡大を目指すナビサイト「High Resolution Audio Gate」を9月26日にオープン。またソニーのショールーム(銀座・名古屋・大阪)では新製品を含むハイレゾ対応機器の展示や体験のコーナーを設ける。10月18日に開幕する「オーディオ・ホームシアター展2013」でもソニーブースに試聴コーナーを用意するという。
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