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AVアンプに新風を吹き込むか? NuForceの3製品を試す潮晴男の「旬感オーディオ」(2/2 ページ)

米国のベンチャーがAV機器に新風を吹き込もうとしている。米NuForceから登場したAVプリアンプ「AVP-18」、マルチチャンネル・プリアンプ「MCP-18」、そしてパワーアンプの「MCA-20」を一気にチェックした。

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 そしてこれらの製品とともにリリースされた「MCP-18」は、純粋なアナログ信号処理で構成されたプリアンプという点がユニークである。7.1チャンネルのアンバランス入力を2系統装備するほか、独立した2チャンネル専用のアンバランス入力を2系統、バランス入力を1系統用意して音質を重視するプログラム用にあてている。またこのモデルは8チャンネルのアンバランス出力に加えてバランス出力を設けることでパワーアンプに対する汎用性を高めていることもポイントだ。

「MCA-20」は8チャンネル構成のパワーアンプ。価格は25万6200円

「MCP-18」は、純粋なアナログ信号処理で構成されたプリアンプだ。価格は12万6000円

 フロントパネルのディスプレイを使ってスピーカー・コンフィギュレーションやチャンネル・バランスの設定が行えるほか、ダウンミックスの設定も可能。また「MUSEボリュウム」と呼ぶオーディオ用に設計された低歪率でSNの高い電子式を採用しスムーズな動作特性を得ているほか、トロイダルトランスを用いた強化電源や高性能のオペアンプの導入によりSN感を重視した物作りがなされていることも見逃せない。

アリシア・キーズのボーカルを聴く

 それでは順にこれらのモデルを視聴した印象をお伝えしよう。AVP-18は音楽ソフトでは張りのある声を再現するし、映画ソフトでは明快なダイアローグを聴かせる。AVプリアンプとしては腰が据わった感じで骨格のしっかりしたサウンドを描き出す。


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 アリシア・キーズが2012年11月にニューヨークのミュージック・ステーション、VH1(現在はMTVの姉妹局)で行ったスタジオ・ライブ「ストーリー・テラーズ」のBDから1曲目の「ノーワン」も視聴してみたが、なるほどと納得のゆくサウンドを味わうことができた。48kHz/24bitで収録された5.1チャンネルのリニアPCM音声は弾力性が豊かでアリシアのボーカルを余すことなく捉えているが、このプライスでそうしたイメージを崩さず伝えるところに感心させられたのである。

 「MCA-20」との組み合わせでもその印象は変わらない。キレが良くそれでいて厚みのあるサウンドを描き出す。デジタル系のアンプに思い描くクリアだが薄口な振る舞いはまったくない。2チャンネルのパワーモジュールを4基搭載しているので、パワードのサブウーファーを使うユーザーには1チャンネル分パワーアンプが余るが、その場合はオープンにしておけば何の問題もない。

 そして「MCP-18」は、抜けの良い厚みのあるサウンドを聴かせてくれた。組み合わせるマルチチャンネル出力を装備したBDプレーヤーのグレードにもよるが、ふくよかさのある表現力がこのモデルの持ち味というか魅力である。ぼくはすでに製造中止となったパイオニアの「BDP-91L」をまだ使っている。それはこのモデル以上に音の良いBDプレーヤーがないからだ。HDMI経由でもアナログ出力でも、これほどに強靭なLFEのエネルギーを引き出してくれる製品はないが、そうしたニュアンスも良く描き出す。

 今回もこのアナログ出力をMCP-18にインプットして視聴したが、AVP-18と比べると細やかさと中音域から低音域にかけての音の旨みは、このモデルの方が高い。機能性が全く異なるので、どちらが優れているとはいえないが、音の傾向としてはMCP-18の方がぼくの好みだった。

 いろいろなパワーアンプとの組み合わせが考えられるMCP-18だが、このモデルの汎用性の高さはマルチチャンネル・インを備えた旧来のハイエンドAVアンプの復活も促す。ニューフォースという名前の通り、AVアンプにおいても力強い存在感を示す製品群の誕生である。

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