4K試験放送、3つの伝送路で6月2日に一斉スタート
4K試験放送の具体的なスケジュールが決まった。次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)とJ:COMは、6月2日に4K試験放送を開始する。
4K試験放送の具体的なスケジュールが決まった。次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)は4月23日、総務省主催の会合で6月2日から4K試験放送を開始する方針を明らかにした。一方、大手MSOのJ:COMは翌24日、自社インフラを活用する4K試験放送を同じく6月2日から実施すると発表した。J:COMはRF方式とIP方式の両方を利用するため、3種類の伝送路を使った4K試験放送が同時に始まることになる。
既報の通り、NexTV-FはスカパーJSATが保有する東経124度/128度CS(高度狭帯域衛星デジタル放送)の設備とインフラを借り受ける形で試験放送を実施する。既に放送免許を取得したという。
映像の符号化方式は、現在のH.264比で約2倍の圧縮率を持つH.265/HEVC(High Efficiency Video Coding)。詳細は未定としているが、基本的には昨年末に行った中間報告に準じた形になる見込みだ。また放送コンテンツなどの詳細も公表はしていないが、2013年に加盟放送局が作成した4Kコンテンツ15作品は含まれる可能性が高い。詳細は改めて発表する予定だという。
高度狭帯域衛星デジタル放送の場合、4K放送も一般的な直径45センチ程度のパラボラアンテナ(124/128CS用)で受信できる。ただし、対応チューナーはまだ登場していないため、今後はメーカーの動向にも注目が集まることになりそうだ。
CATVとIPによる4K放送も同時にスタート
一方のJ:COMは、自社の770MHz HFC(Hybrid Fiber Coax)網を活用し、RF(同軸ケーブル=ケーブルテレビ)とIP(IPネットワーク)の両方式で同時に実験放送を行う。J:COMはNexTV-Fにも加入しているが、試験放送自体は独立した動きだ。
映像符号化にはH.265(HEVC)を採用し、変調方式は256QAM。従来のハイビジョン1チャンネルと同じ帯域幅(6MHz)で毎秒60フレームの4K映像(4K/60p)を伝送できるという。一方、IP方式のビットレートなど詳細は未定。「送信時のパラメーターは決めているが、エラー調整などが入るため、ビットレートについては現時点では決まっていない」(同社)。
STBは、KDDIと共同開発した専用品で、RF方式とIP方式の2種類を用意する(どちらも製造はヒューマックス)。なお、著作権保護として、RFはCAS、IPはDRMの仕組みを利用する。
コンテンツとしては、グループのスポーツ専門チャンネル「J SPORTS」がNexTV-F向けの検証用素材として制作したラグビー関東大学対抗戦「早稲田大学 v.s. 明治大学」を挙げているほか、NexTV-Fとコンテンツの融通についても検討しているという。
J:COMでは、全国にある系列局のネットワークを生かし、東京、大阪、仙台、札幌、福岡などにあるショップやショールーム20カ所に受信設備を置き、一般にも公開する。都内なら東京スカイツリー(東京ソラマチ)にあるショールーム「J:COM Wonder Studio」などで視聴できる見込みだ。現時点で一般家庭への販売やレンタルは計画していない。
同社では、将来の商用サービスについて「検討はしているが、時期は未定。グループの総合力を活かし、4Kコンテンツ制作や調達にも力を入れていく」と話している。
なお、4K映像のIP伝送については、NTTぷららの「ひかりTV」が4月8日からトライアルを実施しているが、こちらはVoD(ビデオ・オン・デマンド)形式のため、“放送”にはあたらない。
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