NHKは4月25日、目に優しい“クルムス蛍光体”を用いた白色LED照明器具の試作機を発表した。既にテレビ番組制作の現場に一部導入しているという。
テレビ番組の制作現場では撮影のために明るい照明を使うが、一部出演者から「光源が視界に入るとまぶしい」という声が上がっていた。これは、既存の白色LEDが青色チップと黄色蛍光を組み合わせたもので、発光部が狭い点光源になっていたためだ。
一方、クルムス(Cl_MS)蛍光体は、2012年に糸製作所と東京工業大学、名古屋大学が共同開発した新しい結晶構造を持つ物質で、紫色光を90%以上の効率で黄色光に変換する特性を持つ。このため青色蛍光体と紫色チップを組み合わせ、発光効率の高い白色LEDができあがる。またクルムス蛍光体を用いた白色LEDは従来の白色LEDと比べて分光スペクトル特性がフラットで、かつ発光面積を大きく設計できることから、NHKは番組制作用の照明器具として小糸製作所と共同開発を進めていた。
NHKでは、スタジオ内でキャスターを照らす「キャスターライト」およびロケや中継で使用する「ソフトライト」の2種類を試作。従来型の白色LED照明器具と比較評価を行ったところ、被験者の9割が「まぶしくない」と回答したという。NHKでは今後、番組での試用などを重ねて最適化を図り、番組制作用照明器具として活用を進める。
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