サウンド・ハンドリングともに高い次元でバランスの取れたポタアン――オーテク「AT-PHA100」:ハイレゾ対応ポタアン検証(4/4 ページ)
「AT-PHA100」は、オーディオテクニカが“満を持して送り出した、ハイレゾ対応DAC内蔵の本格的なポタアン。サウンドや使い勝手の面でオーディオテクニカらしさを打ち出しているモデルなのか、じっくりと検証してみたい。
スマホとの組み合わせはいかに?
「AT-PHA100」は本体に大容量バッテリーを内蔵しているので、iPhoneやAndroidスマートフォンを組み合わせてアウトドアリスニング用のポタアンとして活用するのにも好適だ。アンプの本体サイズがコンパクトに出来ているので、5インチを超えるスマホに組み合わせると、恐らくスマホのサイズが余ってしまうものと思うが、アンプの天面がフラットに仕上げられているので、ラバーバンドをしっかりと巻けばぐらつくことはないと思う。
今回はハイレゾ対応の「Xperia Z2」に、アップデートした「HF Player for Android」の組み合わせで試聴した。iOS/Androidともに有償版HDプレーヤーパックとして提供される「リアルタイムDSD変換」を含むハイレゾ再生機能が1000円を追加で支払えばアンロックされて使えるようになる。
スマートフォン単体では得られないパワーとエネルギーを楽しみながら、音楽の解像感や奥行き方向の見晴らしがキリッとクリアになって如何にも気持ちがよい。アプリケーションレベルでDSD再生に対応しているので、スマホがネイティブでDSD再生をサポートしていなくてもいい。
MP3など低解像度の圧縮音源をDSD形式で再生できるアプリの機能も楽しめた。試しに使ってみると、ディティールがより緻密に描かれるようになり、奥行き方向の立体感が高まる。ボーカルは声のエッジの硬さが和らいで、ふくよかさが増してくる。その差を明確に聴き分けられるのも「AT-PHA100」のバックアップがあってこそ。ヘッドフォン単体で聴くよりも音楽の表情が彩りを増すので楽しく聴ける。
DSD再生の認知拡大はまだこれからだろうが、今回「HF Player」が対応したことでより多くの音楽ファンが体験できる機会が広がったと思う。ここに来て、DSDネイティブ再生に抜かりなく対応してきた「AT-PHA100」の先見性が活きてくる。
「AT-PHA100」を使って聴いてみると、いまどきのハイレゾ再生のトレンドをきっちりと抑えて、当たり前のことを当たり前に安心して楽しめるポタアンであることが実感できる。サウンドは何と言ってもバランスの良さが光っていて、どんなジャンルの音楽も余計な色づけをせずに、ソースの持ち味をそのまま引き出してくれると思う。ヘッドフォンやイヤフォンだけじゃない、オーディオテクニカが誇る音響テクノロジーと、原音探求のスピリットをストレートに体現した製品だ。
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