スチーム+温度制御で「外はカリッ、中はふわふわ」 バルミューダが“究極のトースター”を開発:社長のお勧めはチーズトースト
バルミューダが、スチーム機能と温度制御でパンをおいしく焼き上げるトースターを開発した。同社初の調理家電で、6月中旬に出荷を開始する。
高級感のある“デザイン家電”で存在感を放つバルミューダが、同社初の調理家電を開発した。バルミューダの寺尾玄社長は5月27日の新商品発表会に登壇し、スチームテクノロジーと温度制御で「世界一おいしいパンが焼ける」と豪語する「BALMUDA The Toaster(バルミューダ ザ・トースター)」を発表。開発の背景や商品の詳細を説明した。
五感すべてを使う「食べる」という行為に注目
これまで扇風機や空気清浄機などを開発してきたバルミューダは、なぜトースターに目を付けたのか。寺尾社長は、「家電の役割は、人々にいい体験を提供するもの。その中で五感すべてを使う食べるという行為に注目した。私自身、毎朝トーストを食べるし、1日のスタートをいいものにするためにまずはトースターを開発した。今後はコーヒーなどに着目した製品も出るかもしれない」と説明する。
家電は機能や性能でその優劣を評価されがちだが、寺尾社長は「数値化できないところを重視したい」と考えており、デザインも「おいしいものを作る家電は、どんな形だろう」という発想からスタートしている。ヨーロピアンでクラシック、重みのあるデザインに焦点を当てた今回のトースターは、映画「魔女の宅急便」に出てくるかまどから着想を得たという。
ポイントは蒸気と温度調整 表面と中身の「水分量のコントラスト」を最大化
注目すべきポイントは、蒸気でパンの表面をコーティングするスチームテクノロジーと、パンの種類によって最適化された温度調整機能だ。
製品の開発にあたり、吉祥寺のパン屋「ダンディゾン」の厨房(ちゅうぼう)を研究。ダンディゾンではスチーム機能を備える電気釜を使っており、開発の参考にした。その後は5000枚以上のパンを焼き、試行錯誤の日々が続いたという。
その中で思い至ったのが、パンを焼く前に水を入れるという発想だ。パンを焼く前に付属の5ccカップで水を入れると、焼いている最中にボイラーに水が回り、それがすべて蒸気になる。その後、薄い水の膜でパンの表面が覆われ、中の水分が逃げにくくなり、表面だけが焼き上がった状態になっていく。
寺尾社長は「パンを焼くうえで重要な温度帯が3カ所ある」と語る。それは以下の3つだ。
- デンプンをα化する60度前後
- 表面が茶色くなり、多くのうまみ成分が出てくるメイラード反応が起きる160度前後
- 焦げ始める温度であると同時に、最後にカリッと仕上げるための220度前後
焼き上げるパンの種類に応じて上下のヒーターが最適化された動作をする。バターやチーズなどの油脂成分も水分と共にしっかりと閉じ込めるという。寺尾社長は「焼き物全般に言えることだが、表面と中身の固さ、水分量のコントラストがあればあるほどおいしくなる」と話す。
フランスパンや焦げやすいクロワッサンもおいしく変身
本製品は「トースト」「チーズトースト」「フランスパン」「クロワッサン」「クラシック」という5つのモードを搭載する。パンの種類や具材によって最適な温度が変わってくるからだ。冷凍のパンを焼く場合は、時間を1〜2分追加する必要がある。
オーソドックスなトーストモードは、食パン、ベーグル、イングリッシュマフィンなどを焼くときに使う。調理時間は、普通の角食パンで2.5〜3.5分。
チーズトーストモードは、4〜5分で焼き上がる。チーズも水でコーティングされるため、うまみが閉じ込められる。
最も低温で調理するフランスパンモードは、レストランで出てくるバケットをイメージしたという。バターロールにも対応し、3〜5分で調理可能だ。
クロワッサンモードは、焦げやすいクロワッサンやスコーンを3〜4分でさっくりと温める。ドーナツ、クリームパン、メロンパン、アップルパイなど、バターや砂糖をふんだんに使ったパンに対応する。
クラシックモードは、従来のトースターのように300/600/1300ワットから選択できる。グラタン、モチなどを調理したいときに便利だ。
本体サイズは357(幅)×209(高さ)×321(奥行き)ミリ、重量は4.3キロ。消費電力は1300ワットで、ケーブルの長さは1メートル。カラーはブラックとホワイトの2色を用意した。価格は2万2900円(税別)。全国の百貨店、インテリアショップ、ショッピングサイトなどで販売する。また、ザ・コンランショップ、蔦屋家電、バルミューダのオンラインストアで先行予約を行う。
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