単焦点レンズ並みの実力を持つAPS-C向け中望遠ズーム――シグマ「50-100mm F1.8 DC HSM | Art」:交換レンズ百景
APS-Cフォーマットに対応したシグマのArtラインレンズに、F1.8通しで中望遠域をカバーする高性能なズームレンズが登場した。文句の付け所がない仕上がりのレンズだ。
圧倒的な高画質を誇るシグマのArtラインレンズ。ようやく中望遠域をF1.8通しでカバーする高性能なズームレンズが登場した。その写りは絞り開放から全域で素晴らしいキレ味を持つもので、文句の付け所がない仕上がりになっている。
少し前に話題を呼んだ、シグマのF1.8通しのズームレンズ「SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art」。世界で初めてズーム全域で開放F値1.8を実現したAPS-C用レンズだが、その上のレンジを埋める中望遠レンズがコレである。明るさと性能を得るために、レンズ本体は大きく重たい。なんと重量は約1.5kgである。それもそのはずで、単焦点レベルの画質を実現するために、蛍石と同等の性能を持つFLDガラス3枚、SLDガラス1枚、高屈折率SLDガラス3枚、高屈折率高分散ガラス1枚を贅沢に配置し、各収差を高次元で補正しているからだ。またしっかりとした造りの回転式三脚座を装備。90°ごとのクリックストップを採用するなど、使い勝手にも配慮されている。
写りはシグマのArtラインなので悪いはずがない。絞り開放からシャープな像を提供してくれるが、チョイ絞りだと性能はさらに高まる。手ブレ補正機能はないが、F1.8という明るさのおかげで低照度下でもガンガンとシャッターが切れる。もちろんオートフォーカスも静かかつ高速で、あらゆるジャンルの撮影で大いに威力を発揮するはずだ。中望遠で明るい、とくればポートレート撮影にもいいだろう。ズームレンズながら単焦点レベルの画質なので、微妙なフレーミングを可能にしてくれるこのレンズをチョイスしない手はない。「SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art」とそろえれば撮影がより楽しくなることだろう。
ワイド端の50mmで撮影。川面の様子や中州に生える草の描写がリアルだ。近景から遠景まで安定した写りに感じる。大きく重たいレンズだが、キヤノン「EOS 7D Mark II」との重量バランスはなかなかよかった。
テレ端の描写も素晴らしい。アングラーの真剣な表情からウェーダーの質感まで、しっかりと捉えられている。シグマらしい実にシャープな写りである。
ズーム全域でF1.8という驚異的な明るさを実現したこのレンズだが、そのボケ味も上質だ。高速シャッターを生かしての、日中でのボケ味を積極的に楽しんでみよう。自然で端正なボケ感を手にすることができる。
フルサイズ機と比較してボケ量が少なくなるAPS-Cフォーマットだが、このレンズの開放値を使えば大きなボケを得られる。これはチョイ絞りで水着のモデルを撮ったカットだが、端正なボケと、モデルの肌の感じなどがうまく表現できている。
登山道から舗装路に降りてきた登山者たちをテレ端で。高速で正確なオートフォーカスはふいの被写体でもしっかりと撮影できる。彼らのやや疲れた後ろ姿や、山を覆う草のうねり感、そして遠景の山々までこのレンズは見事に描写してくれる。
休日の渓谷で釣りを楽しむファミリーを撮影した。家族のめいめいの様子がシャープに写しとられている。立体感と自然な色再現、そして前後のボケ感など、スナップや風景、ポートレートまでオールジャンルで活躍するレンズと言える。
瞳の中にカメラを構える撮影者が写っている。そのモデルのまつげから産毛までをチョイ絞りで。単焦点レンズもいいが、50-100mmというレンジをF1.8通しで高画質に撮影できる本レンズはとても魅力だ。新たに中望遠域レンズ導入を考えているフォトグラファーは一度試してみるといいだろう。
(モデル:佐藤杏奈/オスカープロモーション)
(編注:本記事では一般的な撮影状態での利用を念頭に置いているため、人物撮影にレフ版などは利用しておりません)
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