ただし、単に軽くしただけではない。同社によると、SL-1200GRのプラッターはSL-1200MK6のプラッターをベースにシミュレーションを繰り返し、裏面に振動を抑えるリブを追加したものだという。軽量化を図りつつ、不要な振動を抑える工夫を加えたわけだ。重量も上位機との比較では軽くなっているが、SL-1200MK6と比較した場合は0.8kg増えている。にもかかわらず、立ち上がり時間はSL-1200MK6と同等の0.7秒を実現した(33 1/3回転時)。
トーンアームはS字型のユニバーサルタイプで、テクニクス伝統のスタティックバランス型を継承した。SL-1200GAE/Gとの違いはパイプの素材で、マグネシウム製からアルミニウム製へと変更されている。「音を聴き比べるとやはりマグネシウム製のほうが上」(同社)だが、軸受け部には切削加工のハウジングを使用した高精度ベアリングをなどにより、SL-1200Gと同等の5mg以下という初動感度を実現するなど、そのほかのスペックは負けていない。
さらに筐体は4層構造からアルミダイカストシャーシとBMC(バルク・モールティング・コンパウンド)シャーシの2層構造としてコストダウン。2つのシャーシは強固に一体化されており、高い剛性と耐振性を実現しているという。
確かに各所に大胆なコストダウンは見られるものの、それを補う新技術やノウハウが投入されているSL-1200GR。同社では「音質ではSL-1200Gに比べると若干劣るものの、このクラスにおいては十分に競争力があると考えている」と話す。「近年、アナログレコードの需要が増加しており、かつてレコードに親しんだ50歳代以上の男性を中心とした音楽愛好家だけでなく、初めてレコードに触れる10〜30代の若年層にも購入者が広がっている。(価格を下げたことで)DJを含むより幅広いユーザーに提供できるだろう」(同社)
2014年9月の「IFA 2014」で復活ののろしを上げてから丸2年が経過した新生テクニクス。リファレンスモデルから製品を投入してきたこともあってSL-1200GAE/Gは高級Hi-Fiオーディオとして登場したが、一方で以前のSL-1200シリーズが支持された理由の1つに10万円以下で購入できる“コストパフォーマンスの高さ”があった。そうした意味では、新しいSL-1200GRこそSL-1200シリーズの正統な後継機といえるのかもしれない。
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