ビッグデータの活用も
さらに小売り側には大きなメリットがあるいう牧野氏。それはどういうことか?
「IPSを用いることで、店舗内に配置される人員を削減できるほか、それを通じて得られたお客の行動データは、ビッグデータとして店舗自体の売上向上などに利用できます。陳列棚の商品変更や店舗のレイアウト変更などに役立つでしょう。おすすめ商品の情報を来店者のスマーフォンにプッシュするなど、効率的に売上を伸ばす施策にも活用できるのです。使い方次第では、IPSによってリアル店舗が新たな収益を生み出す可能性も秘めています」
ただし、発展途上のIPSには技術的には課題があることも事実だ。その1つが送受信距離が短いこと。
「現在、IPS技術は天井高4.5m以内じゃないとスマートフォンのカメラでフリッカーを読み取ることができません。一般的なスーパーマーケットような場所であれば問題なく使えるものの、例えば吹き抜けなどがある天井の高いショッピングモール、さらにはホールや空港といった場所ではなかなか使用が難しい技術でもあります。送受信距離は、幅広い場所でIPS技術を使うことの課題だと思っています」
IPSは、既にフランスの「カルフール」やアラブ首長国連邦の「アスワーク」といったスーパーマーケットチェーンで商用導入を初めているほか、シンガポールが本拠地でアジア各地でショッピングモールなどを展開する「キャピタランド」が導入済み。また、アジアや欧米でスーパーマーケット以外のさまざまな小売店で導入が見込まれているという。
近い将来、この日本でもIPSを導入するスーパーマーケットやショッピングモールが出てくることだろう。その時は、“リアル店舗の復権”として話題になるかもしれない。
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