決して安い買い物ではない大型テレビ。画質や音質にこだわる人なら各社の製品を自分の目でじっくりと見定め、お目当ての機種を絞り込む過程も楽しみの1つではないだろうか。しかし、ネット通販大手のAmazonによると、同社のテレビストアの売上が過去3年間で3倍以上に増えているという。そこにはリアル店舗に匹敵するサービスとオンラインならでは利便性があった。
Amazonでは2003年からテレビ販売を手がけ、近年は「Amazon.co.jp テレビストア」として拡充。取り扱い商材は2015年から2016年の1年間で1.5倍に増えた。中でも販売を牽引したのが42V型以上の大型テレビだ。
2016年は4K液晶テレビや有機ELテレビの品揃えを増やすとともに、大型家電購入時にユーザーが抱く不安要素の解消に力を入れた。Amazonでは、昨年11月から49型以上の大型テレビを対象として搬入日時の指定や組み立て設置サービス、それまで使っていたテレビのリサイクルサービスなどの提供を開始。またメーカー保証の1年に4年間をプラスする延長保証サービスは、Web画面でカートボタンの上にあるメニューにチェックを入れるだけで追加できるという手軽さだ。
情報提供にも力を入れた。例えば製品画像にはサイズを付加したほか、背面インタフェースが分かる写真なども掲載。カタログ情報を充実させ、カスタマーレビューなどと合わせて購入判断の材料にしてもらうのが目的だ。そしてリアル店舗が営業していない時間帯を含め、「いつでも安心して、待ち時間なく大型テレビが購入できる」のがメリットだという。
もっとも現時点では営業時間を除きリアル店舗でも実現しているサービスばかりだ。しかし、今後は米Amazonが先行して実施している“Amazonならでは”のサービスを提供し、リアル店舗との差別化を図る。
例えば「購入後60日間の無料電話サポート」。これはテレビのみならず、レコーダーや外付けHDDといった周辺機器に関する問い合わせも含め、一括してAmazonが相談を受けるというもの。ユーザーがそれぞれのメーカーに電話する手間を代行する。またカメラなどの製品では既に提供している「商品比較ウィジェット」や、商品ページから「壁掛け設置」などの工事を伴うサービスの依頼もオプションとして追加できるようにする。
一方、Amazonで大型テレビを販売することは、メーカー側にもメリットがあるという。説明会に同席したLGエレクトロニクスのマーケティング部長、キム・ドンゴン氏は、1月に発表した「W7P」シリーズを含む同社の有機ELテレビ4シリーズをAmazonで販売すると明らかにした。同社の場合、Amazonを販売ルートのみならず、1つのメディアとして活用する考え。「OLEDを多くの人の目に触れる機会を増やしたい」(同氏)
Amazonの大木氏は、「われわれが重視しているのは、品ぞろえ、価格、利便性の3つ。お目当ての製品を簡単に見つけられる利便性、期待を裏切らない価格など、時代を問わず小売業に求められる要素をそろえてきた」と胸を張る。「ユーザーが期待するすべてのサービスが念頭にある。さらにITを活用したイノベーションで磨きをかけるのがAmazonだ」(同氏)
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