LGエレクトロニクス・ジャパンが2017年度の薄型テレビ新製品として、有機ELテレビ4モデルと液晶テレビ10モデルを発表した。これには1月の「CES 2017」で注目を集めた“壁紙テレビ”「OLED W7P」シリーズも含まれる。
「OLED 65W7P」は、65インチの大画面テレビでありながら、壁掛け設置すると壁面からパネル表面までが約3.9mmという薄さ。「テレビ画面がまるで宙に浮いているような新感覚デザイン」を、同社は「Picture-on-Wall」(ピクチャー・オン・ウォール)と名付けた。
パネル部とサウンドバースタイルの「コンパニオンボックス」の2ピース構成で、パネル部とは専用ケーブルで接続するかたち。スタンドは付属せず、専用ブラケットで壁面にはり付けることが前提のテレビになっている。パネル部の重量は7.6kg。
有機ELパネルは世代こそ従来機と同じだが、ピーク輝度を25%向上。暗部のノイズを低減し、階調性も改善したという。「日常的に見る映像コンテンツの9割を占めるといわれる輝度レベル(APL)が50%以下のシーンで輝度処理を改善し、一層コントラスト比の高い映像を映し出す」(同社)。また新技術の「True Color Accuracy」によって色再現性も向上し、4K/8Kを含むUltra HD TVの色域であるBT.2020もカバーするとしている。
HDRフォーマットはUltra HD Blu-rayのHDR 10とDolby Visionをサポート。また「Active HDR」技術は、1コンテンツの1メタデータしかないHDR 10コンテンツでも1フレームごとに処理を行い、輝度とコントラストを向上させるという。今後、HLGへの対応も予定している。
音響面では、テレビ製品として初めてDolby Atmos(ドルビーアトモス)をサポート。ドルビーが新たに開発したバーチャル技術を用い、フロントスピーカーのみでオブジェクトオーディオを再現するという。コンパニオンボックスの上面に取り付けられたムービングスピーカー(電源オンで出てくる)は、天井スピーカーのように上方からの音を作り出す仕組みだ。
さらに「ドルビーサラウンド アップミキサー」も搭載し、ステレオや従来のチャンネルベースサラウンドファーマット入力時にも3Dサラウンドに近い音響効果が楽しめるという。
あいさつに立った同社のイ・インギュ社長は、「有機ELテレビは、さらなる革新の年を迎えた。有機ELテレビのリーディングカンパニーとして辿り着いたのはシンプルさを追求した究極のテレビ。W7PのWは、壁紙のWall Paper、窓のWindow、驚きのWowの意味。これまでにない驚きと感動を伝える」と胸を張った。
65W7Pの価格はオープンで、店頭では100万円前後になる見込みだ。4月上旬から販売を開始する。
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