大韓航空のエアバスA380がソウル/成田線に就航秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(4/7 ページ)

» 2011年06月28日 08時00分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]

類いなき静寂性に驚きの声も

 KE380便は9時30分に仁川国際空港を離陸した。キャビンスペースの広さからくる快適性もさることながら、A380はとにかく静かだ。旅客機の騒音の大部分は、主翼に取り付けられたエンジンの排気音が起因している。A380は主翼の先端から先端までが約80メートルもあり、エンジンがキャビンから見て遠い場所に設置されているため、音がキャビンに伝わりにくい。またボディの外板と内壁の防音処理や、新しい吸音材の研究に、エアバスは多くの時間と労力をかけて取り組んできた。もちろんエンジン自体も、静寂性を追求して開発されている。

飛行機と空と旅 A380は全幅約80メートル。エンジンもキャビンから離れた位置にあり、騒音も解消

「おい、いつの間にか動き始めているぞ!」

 私のうしろの席にいた韓国からの2人組のそんな声が聞こえてきたのは、滑走路に向かってタキシング(地上走行)しているときだった。揺れが少なく、キャビンにはエンジン音もほとんど響いてこないため、タキシングを始めたのにも気付かなかったのだろう。しかも私の席は、主翼のちょうど後方だ。いつもなら最も騒音に悩まされる位置なのだが、後部席の2人の会話が自然に耳に入るという事実が、A380の静寂性を何よりも物語っている。

機内食の“オスカー”受賞の人気メニュー

 離陸して40分。上昇飛行から水平飛行に移ってしばらくすると、機内でミールサービスが始まった。

 大韓航空の機内食メニューは、エアラインファンの間でも定評がある。なかでも“名物”として知られるのが「ビビンバ」だ。ごま油の香りとコチュジャンの辛さが食欲をそそる同メニューは、いまから20年前に提供をスタート。現在は仁川国際空港からの出発便だけで1日に4000食が搭載され、利用者の6割近くがチョイスする人気メニューに成長している。機内食の“オスカー”ともいわれる「マーキュリー大賞」も同メニューで受賞した。

飛行機と空と旅 韓国で定番のテンジャンチゲは、ブランチメニューとしてもぴったり

 さて、KE380便では朝9時10分の出発ということもあり、軽めのブランチのメニューが用意されていた。メニューリストにあるのは、海の幸の入ったテンジャンチゲにご飯のセットと、モッツアレラチーズとトマトのキッシュの洋食セットの2種類。私は迷うことなくテンジャンチゲをオーダーした。機内食は、そのエアラインの“お国柄”を反映したメニューに限る──それが私の持論である。

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