若者のクルマ離れ――ブリヂストンがスマホアプリで模索するものとは?(2/3 ページ)

» 2012年12月25日 17時00分 公開
[まつもとあつし,Business Media 誠]

ユーザー自身が楽しみ、さらに友達を巻き込んでいく仕掛け

――単なる機能提供ではなく、コンテンツ(雑誌→音楽→ユーザー投稿コンテンツ)を絡めた企画が続いた背景には何があったのでしょう?

山本 ブリヂストンがこれらのアプリに求めたものは、既存のマス媒体では難しい、ユーザーに直接ベネフィットを提供できることでした。DRIVE to…やDRIVE DJでは、それぞれドライブ情報や音楽を通じて、これを実現できたと思います。

 ただ、クルマ離れが進む中、DRIVE to…のようにドライブの楽しさをダイレクトに伝えても、そもそもドライブに興味がない人には響かない。リーチを拡大するためにフックとしたのが、音楽や写真だったのです。

 さらにDrive Linkは、ユーザーがみずから積極的に参加して楽しめるコンテンツを提供したい、ソーシャルメディアを介することでその友人にも楽しさが伝わってほしいという考えから生まれました。個人的にはこのアプリを使うことでクルマに乗る機会が増えました。

Drive LinkDrive Link Drive Linkで生成する動画のサンプル

 また、このアプリは「移動することの楽しさ」そのものに焦点を当てています。クルマでのドライブだけでなく、散歩やサイクリングで使ってもらえるとうれしいですね。こういった楽しい思い出が、ブリヂストンというブランドに触れてもらう最初のきっかけになる可能性もあります。

 このようにコンテンツを楽しむことを通じて、ブリヂストンに対する企業イメージをアップできれば、という狙いがあります。

――Drive Linkはユーザー投稿型のサービスとなりました。不正投稿の監視や削除など、これまでのアプリにはなかったリスクやコストが生じますよね。社内に懸念はありませんでしたか?

山本: ブリヂストンとしても初めての取り組みですし、確かに社内にも「ブランドイメージを傷つけるのでは」という声がありました。そこでリスクヘッジは最大限にしようと努めています。例えば、不適切な写真が投稿されることに備えて目視による監視を行っています。

 実は、投稿写真から作成される動画の最後にブランドロゴを表示するというアイデアもありましたが、不適切な動画が生成され、拡散される可能性をふまえ、アプリ名を表示するに留めたという経緯もあります。しかし、現在のところ、懸念していたような投稿はほぼありません。

――アプリの連携先としてFacebook、Twitter、mixiへの投稿が可能です。サービスによって利用の仕方に違いはありますか?

山本 思い出を共有し、動画を見ながら振り返るという利用シーンが多いためでしょうか、Facebookへのリンク投稿が目立ちます。撮影した写真をそのつどTwitterへリンク投稿するという使い方もできるのですが、あまり使われていないようです。もう少しアプリの機能をシンプルにしても良かったかなという印象もあります。

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