1月12日から北米国際自動車ショー、通称デトロイトショー(デトロイトモーターショーとも)が開催されている。今回注目のクルマは、「アキュラNSX」(ホンダ)、「レクサスGS F」(トヨタ)、「インフィニティQ60コンセプト」(日産)、新型「シボレー・ボルト」(GM)あたりだろう。
NSXは前モデルの販売終了以来10年、永らく新型の登場が期待されていたモデル。V6ツインターボ+ハイブリッドをミッドシップに搭載する、革新的なスポーツカーだ。トランスミッションに組み込んだハイブリッドモーター以外に、左右前輪用のモーターを各1つずつ備える3モーター・ハイブリッドシステムを採用している。
4輪にかける駆動力を別々にコントロールできるだけでなく、左右の前輪を独立して回生ブレーキ制御することで、駆動力や制動力で曲がることができるという、まったく新しい概念のクルマだ。例えば左前輪にブレーキを掛けながら右後輪に駆動力を与えれば、クルマには反時計回りの回転モーメントが生まれる。さらに状況に応じてリアタイヤをわずかにステアさせる技術も投入しており、曲がり始めの俊敏な動きと、高負荷域での安定性の両立を狙う。
レクサスGS Fは、レクサスGSのハイパフォーマンスモデルにあたる。V型8気筒5.0リッター348kw(473ps)の強力なパワーユニットと8段トルクコンバータ+ステップATを搭載。ハイパフォーマンスモデルに恥じない動力性能を発揮する。パワーアップに対応してシャシーにも手が加えられ、GSより高いボディ剛性を実現している。またこちらも左右後輪のトルク配分を変えることで俊敏さと安定性を確保するという。
インフィニティQ60コンセプトについては、詳細は未発表だ。インフィニティのサイトを見ると「ハイパフォーマンス・スポーツクーペ」とか「個性的かつ攻撃的スタイルと高出力なパワートレインをプレミアムにパッケージした」とか「扱いやすくパワフルで経済的」という極めて抽象的なセールストークが並ぶばかりで、具体的な仕様やスペックは一切公開されていない。ただ容易に想像できるのは、これが新型スカイライン・クーペであり、比較的近い将来日本にも上陸するだろうということだ。
これら3台の日本車を見ると、今後の北米での日本車の立ち位置がはっきりする。量販車種から、高付加価値なプレミアム商品へのシフトがさらに進んでいるのだ。かつてサニーやカローラ、シビックといった廉価な小型車からスタートし、アコードやコロナクラスへと少しずつ浸透して行った戦略が、ついにプレミアムクラスのハイパフォーマンスカーに到達しようとしている。こうした高付加価値モデルへのさらなるシフトは、日本のメーカーにとって極めて現実的な戦略だと言える。途上国と実りの少ないコスト競争をしても、疲弊するだけだからだ。
背景としては、ここしばらく米国での自動車販売が好調なことがある。2012年までの3年間の推移を見ると、2010年は約560万台、2011年は約610万台、2012年は約720万台と快調に売り上げを伸ばしている。好況感を追い風に、ハイパフォーマンスでプレミアムなクルマの売り上げを伸ばす好機がやってきているわけだ。
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